岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

オリジナル作品に匹敵する傑作ミュージカル

2022年02月16日

ウエスト・サイド・ストーリー

© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

【出演】アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デ・ボーズ、マイク・フェイスト、デビット・アルバレス、リタ・モレノ
【監督・製作】スティーブン・スピルバーグ

躍動感溢れるダンスと縦横無尽なカメラワーク

スティ―ブン・スピルバーグ監督の数少ない失敗作のひとつである「1941」の中で、唯一輝いていたのがダンスシーンだった。その時私は、スピルバーグはいつか素晴らしいミュージカル映画を撮るだろうと確信した。それが、まさかミュージカル映画史上の最高傑作「ウエスト・サイド物語」のリメイクになろうとは、思いもしなかったけれど。

映画史に残る傑作のリメイクはむずかしい。オリジナル作品の足元にも及ばない出来栄えに終わることが少なくない。しかしさすがはスピルバーグ、少なからずあった不安を、オリジナルのクオリティーと遜色ない傑作に仕上げて杞憂に終わらせてくれた。

レナード・バーンスタインの名曲の数々が、躍動感溢れるダンスと縦横無尽に動き回るカメラワーク(撮影監督ヤヌス・カミンスキー)による映像と共に蘇る。

アメリカの分断が問題視される今日、「ウエスト・サイド物語」をリメイクすることは意義のある事だと思う。スピルバーグはオリジナル以上に、貧困層の白人の不良グループ(ジェット団)と、プエルトリコ系移民の不良グループ(シャーク団)の、縄張り争いの社会的背景をわかりやすく描いている。そして、負の連鎖により招いた悲劇的結末を教訓に、融和を呼びかけて幕を閉じる。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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