岐阜新聞 映画部

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アンドロイドに仮託して、本当の愛を追及する新鮮な恋愛映画

2022年02月10日

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド

© 2021, LETTERBOX FILMPRODUKTION, SÜDWESTRUNDFUNK

【出演】ダン・スティーヴンス、マレン・エッガルト、ザンドラ・ヒュラー、ハンス・レーヴ
【監督・脚本・製作総指揮】マリア・シュラーダー

「正しい言動ばかりでうんざりだわ」とぼやくアルマ

最近は恋愛しない男女が増えている一方で、疑似恋愛を楽しむ人が増えているらしい。疑似恋愛とは、妄想やバーチャルで恋愛しているかのような感情を楽しむことで、すべて自分の都合で決められるので、相手に傷つけられることも失恋することもない。

今後AIや人型ロボット技術が進化していくと、「理想の恋人」や「好きなタイプ」が、完全に再現されるようになるかもしれない。

本作は、楔形文字の研究に没頭する失恋経験者の独身学者アルマ(マレン・エッゲルト)が、研究資金欲しさに、アンドロイド・トム(ダン・スティーヴンス)との疑似恋愛の実証実験に、しぶしぶ参加するところから始まる。

このアンドロイド、全ドイツ人女性の恋愛データをベースに、アルマの性格やニーズに合わせて完璧にプログラミングされているというのが触れ込みだ。

ルールを決め、それを忠実に実行するのが得意なドイツ人のアルマであるが、さすがに「これで私の孤独が癒されるとでも思うの?」とばかりに渋い顔を見せるも、やはり一度決めた通り自宅に引き取る。

トムは、アルマの好み通りのイギリス訛りのドイツ語で話し、夜は「一緒に寝ないの?」と聞き、朝は早起きしてキッチンもリビングも整理整頓し、完璧な朝食を用意する。

仕事場に行きたがるトムに、「コーヒーショップで過ごしてて」と命令すると、閉店後まで雨の中で待っているし、家に変えれば浴室にはバラの花が敷き詰められ、シャンパンが出される。

彼女の願望通りに何もかも完璧にこなしてしまうトムに、「正しい言動ばかりでうんざりだわ」とぼやくアルマ。

「人と人との関係、特に恋愛は思い通りにはいかない」から悩んだり落ち込んだりするのだが、映画は「ケンカを含めすべてを受け止めてくれるアンドロイドの言動はやっぱり嬉しいよね」と描いている。

アンドロイドに仮託して、人間の本来の優しさを示してくれる新鮮な恋愛映画だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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