岐阜新聞 映画部

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監督50周年第40作目のイーストウッド新作

2022年02月02日

クライ・マッチョ

© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved 

【出演】クリント・イーストウッド、エドゥアルド・ミネット、ナタリア・トラヴェン、ドワイト・ヨーカム、フェルナンダ・ウレホラ
【監督・主演・製作】クリント・イーストウッド

西部劇であり師弟ものでありラブストーリーでもある

クリント・イーストウッドの初監督作品は、『恐怖のメロディ』(1971年/日本公開72年)で、主人公に異常なまでに執着するストーカーを描いたスリラー映画だった。当時まだストーカー行為が認知浸透していなかったため、先進的な作品として評価されたのは、のちになってからだった。

そして50年、40作目の監督作品となるのが『クライ・マッチョ』となる。

マイク・ミロ(イーストウッド)は、かつてはロデオのスターとして名を馳せていたが、落馬事故で負傷して以来、落ちぶれてしまっていた。今は、小さな牧場で馬の調教師をして細々と暮らしている。

その日、雇主からお払い箱=クビを告げられる。

1年後、マイクのもとを訪ねて来た雇主のハワード(ドワイト・ヨアカム)から、メキシコにいる息子を連れ戻してくれないかと依頼される。

ここで、マイクの妻と息子が自動車事故で亡くなった過去がわかり、彼が転落した理由が明確になる。その後を援助したハワードの願いに応える "義理" があることを強調するが、このオープニングはいつになくぎこちない。

メキシコに入ったマイクは、ハワードの元妻がいるメキシコシティの屋敷に辿り着き、そこには息子のラファエル(エドヴァルド・ミネット)がいないこと、母親も手を焼く存在であることを知らされる。

原作は、N・リチャード・ナッシュの同名小説で、脚本もニック・シェンクと共同執筆している。映画化の構想は紆余曲折を経て、2020年にイーストウッド監督主演で急遽決定し、パンデミック下、メキシコで撮影が行われた。

90歳を迎えたイーストウッドはその背中や動きにさすがに老い感じる。ラファエルとの脱出行にも追手の存在感の無さと、安易な危機の回避が気になる。

しかし、物語は足止めとなり、滞在を余儀なくされる国境の小さな町で輝き出す。

荒馬を乗りこなす術をラファエルに教える師弟ものの成長譚。食堂の女将マルタ(ナタリア・トラヴェン)との交流。"老い楽の恋" と言わないまでも、艶っぽいことを忘れてはならないという男の見栄。その色気溢れる結末には安堵する。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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