岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

「ありがとう」の感謝の言葉が素晴らしい。クチコミで広がる映画

2021年12月13日

梅切らぬバカ

©2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト

【出演】加賀まりこ、塚地武雅、渡辺いっけい、森口瑤子、斎藤汰鷹、徳井優、広岡由里子、北山雅康、真魚、木下あかり、鶴田忍、永嶋柊吾、大地泰仁、渡辺穣、三浦景虎、吉田久美、辻本みず希、林家正蔵、高島礼子
【監督・脚本】和島香太郎

見事に演じられる自閉症当事者、強い母性で守る勝気な母

私が勤める障害者就労支援施設の利用者さんから、「自閉症を扱った映画で、うちの母が観たいと言ってますが、美多さんは観るんですか?」と聞かれた。その時点で内容を全く知らず「ごめん、観る前には情報を遮断してるんだ」とうそぶいて強がったが、内心不明を恥じつつ名古屋封切りの2日目に観に行った。

朝1回目の上映なのに劇場内はほぼ満席。後からわかっのだが、当初3館ほどでの上映が、現在では119館(12月5日時点)に増えるほどの大ヒット。SNSやクチコミでの評判が動員に繋がったのは間違いない。

まず凄いのは、自閉症当事者チューさんを演じた塚地武雅さんだ。時間の概念やルーティンに強いこだわりを持つ自閉症スペクトラムの特性を実に見事に演じている。実際には100人100様だが、ある種類型化された個性で自閉症の代表選手となっている。

そしてもちろん、強い母性でチューさんを守る加賀まりこさんだ。きっと自宅でできる自営の仕事として「占い師」を選んだのだろう。

彼女のセリフの中で強い印象を残すのは、チューさんに対する「ありがとう」という感謝の言葉だ。世話してあげてるという恩着せがましさや、なんで私だけがという不満の気持ちをかき消してくれる。勝気な演技の加賀さんが発するからこそ、偽善でなく心からの言葉に感じるのだ。

グループホームの中の様子も素晴らしい。事前の取材が行き届ているのか、正確に把握し再現できているようだ。

声の大きい近隣住民の、「無くてはならない施設だし非難しているわけではない。でもうちの近所は困る、安心して普通に過ごしたいから」。こんなシビアな問題も、深刻にならない程度に描けている。

話のメインである隣りに越してきた渡辺いっけいさん演ずる里村一家とのやりとりも、微笑ましく優しい。

ツッコミどころもなくはないが、志が高い映画にケチは付けたくない。あっという間の1時間17分だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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