岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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核戦争を危機一髪から回避。背景にあった勇敢さに迫る映画

2021年12月07日

クーリエ:最高機密の運び屋

© 2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【出演】ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー
【監督】ドミニク・クック

誰にも喋ってはいけない、絶対的秘密の共有

私が若い頃に映画や小説で慣れ親しんだスパイは、東西冷戦を舞台にしたものが多かった。初期の007シリーズの『ロシアより愛をこめて』や、昨年末に亡くなったジョン・ル・カレの小説「寒い国から帰ってきたスパイ」など、ネットで情報収集する現代と違い、生身の人間が命がけで諜報活動を行うスリリングな展開は、私を夢中にさせたものだ。

しかしカッコいいのは映画や小説などのフィクションの世界のキャラクターで、ホンモノのスパイは、地味で地道で英雄の陰に隠れた日陰の存在ということなのだ。

第二次大戦後、米ソを初めとして核開発競争が始まり、力の均衡という核保有国の勝手な理屈で、世界は1950年代後半から核戦争の脅威にさらされることとなってしまった。

本作の主人公の一人、ソ連軍のペンコフスキー大佐(メラーブ・ニニッゼ)は、世界平和のためにソ連の機密情報を西側に流すことを決意する。結果的にソ連政府を裏切ることになり、バレれば命の保証はないのだが、彼は信念を最優先する。

その情報を西側へ送り届ける役が、一介の民間セールスマン、グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)だ。彼はスパイ行為の一躍を担うことは理解しているが、その中身は知らない。

何の接点もなかった2人が、誰にも喋ってはいけない絶対的秘密を共有する中で、次第に友情を深めていく。家族ぐるみの付き合いも始まり強い信頼を結んでいく。

米軍はペンコフスキーの情報により、1962年10月14日ソ連によりキューバに建設中のミサイル基地の撮影に成功。危機は頂点に達するが、10月27日ケネディとフルシチョフの合意により事態は危機一髪で回避される。

映画は、緊迫感あふれる演出で緊張感が漂い核戦争への恐怖も伝わってくる。ソ連の冷酷さも怖すぎる。

それと共に彼らの意志の強さや勇敢さを讃えており、功績を歴史が証明する手助けにもなっているのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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