岐阜新聞 映画部

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あるセールスマンの数奇な運命の実話映画

2021年12月07日

クーリエ:最高機密の運び屋

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【出演】ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー
【監督】ドミニク・クック

派手なアクションはなくても緊張感を持続する本格スパイもの

スパイと言えば、何となく、懐かしいような響きがあって、隆盛の時代は昔のことと思いきや、今年、久々に "007シリーズ" が公開されたり、日本映画にも『スパイの妻』(黒沢清・監督/2020年)などがあって、まだまだ、死語にはなっていないのであります。

『クーリエ:最高機密の運び屋』は、題名からも王道のスパイ映画の雰囲気が漂っている。

時は1960年代、アメリカとソ連は大国の威信をかけた冷戦の只中にあった。

1962年10月に勃発した世に言う "キューバ危機" は、ソ連がアメリカのお膝元、ミサイルの射程内に位置するキューバに、核ミサイルの基地を建設していることが発覚したことに始まる。アメリカは対抗措置として海上封鎖を敢行、両国の睨み合いは、いつ全面核戦争に発展してもおかしくない緊張感に包まれた。

この "最も第3次世界大戦に近づいた13日間" と呼ばれる史実を描いた映画はいくつも存在する。それは政治色の強い社会派だったり、"if" の世界を想定したSF映画だったりする。

その冷戦下、世界はいつ起きてもおかしくない核戦争の恐怖に包まれていた。

そんな時、西側の情報収集機関の親玉であるアメリカのCIA(米国中央情報局)とイギリスのMI6(英国秘密情報部)は、ソ連に潜入可能な人材を探していた。それはソ連の政治中枢GRU(ソ連軍参謀本部情報総局)のペンコフスキー大佐(メラーブ・ニニッゼ)からの機密情報を受け取る役目を担っていた。

そこで白羽の矢が立ったのが、イギリス人セールスマン、グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)だった。

表向きは平凡なセールスマン。それはスパイとしての何の訓練も受けていないことを意味する。危険と背中合わせの任務に丸腰の人材を起用するしたたかさ。

実話ベースのストーリーは派手なアクションは皆無だが、リアルな緊張感にあふれていている。そして運命でめぐり合う2人の男の友情物語が静かな感動を呼ぶ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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