虐げられた者同士の魂のふれあいを描く傑作
2021年11月29日
少年の君
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【出演】チョウ・ドンユイ、イー・ヤンチェンシー
【監督】デレク・ツァン
リリシズムに溢れた素敵な青春映画
中国・香港の合作映画「少年の君」は、今年の外国映画の中でも屈指の傑作。見終えた時の感動は、韓国映画「息もできない」や石井裕也監督の「茜色に焼かれる」を観た後の感動と同種のものだ。中国でも深刻な社会問題であるらしいイジメを描いた作品だが、核にあるのは虐げられた者同士の魂のふれあいである。
過酷なイジメがリアルに描かれるシーンもあるが、「リリイ・シュシュのすべて」のようにリリシズムに溢れた素敵な青春映画で、監督のデレク・ツァンが敬愛する岩井俊二監督の影響が感じられる。
優等生の女子高生チェンとチンピラの少年シャオベイ。住む世界の違うふたりの出会いは「泥だらけの純情」に似ている。ひどいイジメにあっているチェンは、シャオベイにボディガードを頼む。チェンの後をつけるシャオベイ。それはまるで、キャロル・リード監督の愛すべき小品「フォロー・ミー」の距離をおいたデートのようだ。やがて、ふたりは残酷な運命に巻き込まれていくのだが、終盤は観客も運命共同体になったようにスクリーンに釘付けになること必至。
チェン役のチョウ・ドンユィ、シャオベイ役のイー・ヤンチェンシーは共に鮮烈な印象を残す好演。
第93回アカデミー賞の国際長編映画賞ノミネート作品。香港電影金像奨では、作品賞、監督賞、主演女優賞など8部門を受賞している。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。