岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

運命に揺らぐ幼なじみのピアニストの物語

2021年11月25日

にしきたショパン

©2020 Office Hassel

【出演】水田汐音、中村拳司、ルナ・ジャネッティ、泉高弘、野々村亜梨沙、楠部知子、とみずみほ、茂木大輔(友情出演)
【監督・脚本・編集】竹本祥乃

映画づくりの新たな方法を探る自主映画

題名にあるショパンは、ピアニストとしても、作曲家としても知名度抜群だから、説明は不要だろう。では、“にしきた" は?

『にしきたショパン』は自主映画として制作され、配給を担当する会社もない。

まず、竹本祥乃監督は平日は理化学研究所に勤務する研究員で、映画の制作はおもに休日におこなっている、言わば "週末監督" という、少し変わったポジションにいる。というと、語弊があるから、熱い思いに突き動かされて映画を撮っていると言い換えよう。ご本人曰く、「ある日、目覚めた創作の意欲は、次第に、自分の作りたいものを作るという欲求に変わった」という、頼もしき確かな映画愛がある。

10数年前に始まった映画づくりの過程で、新作に取り掛かった時、撮影場所として、ヨーロッパ風の建物を探していた。そこで巡り合ったのが、とあるカフェだった。

運命の人はそこにいた。カフェのオーナーである近藤修平氏は、竹本監督の活動に興味を抱いたというと、やっぱりこれにも語弊がある。映画への情熱に目覚めてしまったということになる。これは結果論だけで言っているのではなく、映画には生臭いがお金の話が絡む。確かな映画愛なくしてははじまらない。

近藤プロデューサーは一冊の本を監督に差し出す。それは「マスター先生」という、近藤氏の書いたエッセイだった。「これ映画にしませんか」…そして映画ははじまった。

同じ高校に通う凛子(水田汐音)と鍵太郎(中村拳司)は、幼なじみだがピアノではライバル関係にある。近づくコンクールのオーディションを目指す鍵太郎は凛子には常に上をゆく存在だった。そして運命の日、1995年1月17日早朝。阪神淡路大震災が2人の運命を狂わせる。

ラフマニノフやショパンの名曲のもと、試練に直面し、苦悩する2人を厳しくも優しく見つめる映画は、手作りの温かみにあふれている。

"にしきた" は阪急線西宮北口駅の別称で、地域の呼名…映画に込められた地元愛が見える。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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