岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品かそけきサンカヨウ B! 純粋で傷つきやすい、ナイーブな子たちの成長物語 2022年01月19日 かそけきサンカヨウ ©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会 【出演】志田彩良/井浦 新、鈴鹿央士、中井友望、鎌田らい樹、遠藤雄斗、石川恋、鈴木咲、古屋隆太、芹澤興人、海沼未羽、鷺坂陽菜、和宥、辻凪子、佐藤凛月、菊池亜希子/梅沢昌代、西田尚美/石田ひかり 【監督】今泉力哉 相手をそして自分を「受け入れる」という気持ちが大切 今泉力哉監督の恋愛映画は、スクールカーストでいえば二軍の子たちの映画である。クラスの中心のスター階級でも、ブイブイ言わせているヤンキー階級でもない、恋愛にはチョット奥手で自分に自信がなかったりする平均的な階級の子たちだ。 『かそけきサンカヨウ』は、中学3年から高校1年の、大人の入口へ差し掛かる頃のお語し。陽(志田沙良)や陸(鈴鹿央士)たち5人組の、儚げで淡く(かそけき)、雨に濡れると透けてガラス細工のようになる花(サンカヨウ)のように、純粋で傷つきやすいナイーブな子たちの成長物語だ。 おそらく公立の小中学校へ通っていたであろう陽たち。高校になると他の中学の子たちも入ってくるし、先生じゃなく教師という感じだし、義務教育ではないので中退する子も出てくる。 そんな時、父(井浦新)と2人暮らしだった陽の家に新しいお母さん(菊池亜希子)と怪獣みたいな妹がやってくる。それまでは料理を作ったり家事をしたりと、父曰く「早く大人にさせてしまった」陽だったが、また子どもに戻ることになる。 生みのお母さん(石田ひかり)は、陽を置いて何故家を出て行ってしまったのか?忘れようとしていたのに、また頭の中を占めてくる。 陸だって、お父さんはほとんど海外にいて、事実上は母子家庭。小うるさいくお節介なおばあちゃんもいて息苦しい思いをしている。 しかし今泉監督は、どんな状況においてもエキセントリックなお話にはしない。過酷なエピソードも、予期しない出来事も、心さえ繋がっていれば、何とかなるさと暖かく見つめてくれる。 何度も出てくる食事のシーン。中でも陸を迎えての手巻き寿司のシーンはとっても素敵だ。みんなで同じ食卓を囲んで食事をする。血縁よりも濃い関係が垣間見れる瞬間だ。 映画全体を彩っているのは、相手をそして自分を「受け入れる」という気持ち。否定せず肯定する。 今泉映画は、いつも気持ちいい。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター 4Kで甦る 憎悪の泥に塗れた官能的な愛の物語 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター ジェーン・カンピオン監督の最高傑作、完璧な作品 2024年04月24日 / RED SHOES/レッド・シューズ オーストラリア発バレエ舞台の成長物語 more 2019年08月21日 / 松竹座(香川県) 名作『二十四の瞳』の舞台で、映画に浸る一日を過ごす 2023年10月11日 / シネマハウス大塚(東京都) かつての映画青年たちが集まって立ち上げた映画館 2018年05月30日 / 名古屋シネマテーク(愛知県) 作り手も観客も映画と真剣に向き合える映画館 more
相手をそして自分を「受け入れる」という気持ちが大切
今泉力哉監督の恋愛映画は、スクールカーストでいえば二軍の子たちの映画である。クラスの中心のスター階級でも、ブイブイ言わせているヤンキー階級でもない、恋愛にはチョット奥手で自分に自信がなかったりする平均的な階級の子たちだ。
『かそけきサンカヨウ』は、中学3年から高校1年の、大人の入口へ差し掛かる頃のお語し。陽(志田沙良)や陸(鈴鹿央士)たち5人組の、儚げで淡く(かそけき)、雨に濡れると透けてガラス細工のようになる花(サンカヨウ)のように、純粋で傷つきやすいナイーブな子たちの成長物語だ。
おそらく公立の小中学校へ通っていたであろう陽たち。高校になると他の中学の子たちも入ってくるし、先生じゃなく教師という感じだし、義務教育ではないので中退する子も出てくる。
そんな時、父(井浦新)と2人暮らしだった陽の家に新しいお母さん(菊池亜希子)と怪獣みたいな妹がやってくる。それまでは料理を作ったり家事をしたりと、父曰く「早く大人にさせてしまった」陽だったが、また子どもに戻ることになる。
生みのお母さん(石田ひかり)は、陽を置いて何故家を出て行ってしまったのか?忘れようとしていたのに、また頭の中を占めてくる。
陸だって、お父さんはほとんど海外にいて、事実上は母子家庭。小うるさいくお節介なおばあちゃんもいて息苦しい思いをしている。
しかし今泉監督は、どんな状況においてもエキセントリックなお話にはしない。過酷なエピソードも、予期しない出来事も、心さえ繋がっていれば、何とかなるさと暖かく見つめてくれる。
何度も出てくる食事のシーン。中でも陸を迎えての手巻き寿司のシーンはとっても素敵だ。みんなで同じ食卓を囲んで食事をする。血縁よりも濃い関係が垣間見れる瞬間だ。
映画全体を彩っているのは、相手をそして自分を「受け入れる」という気持ち。否定せず肯定する。
今泉映画は、いつも気持ちいい。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。