岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

きのこの可能性に触れるドキュメンタリー

2021年11月08日

素晴らしき、きのこの世界

© 2018, Fantastic Fungi, LLC

【出演】ポール・スタメッツ、マイケル・ポーラン、ユージニア・ボーン
【監督】ルイ・シュワルツバーグ

美しきビジュアルと恐るべき効能

南方熊楠を知っていますか?

博物学者として知られる南方熊楠は、慶応3年、和歌山県和歌山市に生まれた。東京帝大を中退し渡米。さらにイギリスに渡り大英博物館で独学で学んだ。1893(明治25)年、論文「東洋の星座」がネイチャー誌に発表されたのを皮切りに、多岐に渡る研究で、生涯に51の論文が同誌に掲載されたが、これは単著による最多数で、この記録は今も破られていない。

熊楠が特に心血を注いだのは、菌類、粘菌類の研究で、新種の発見は70を超えた。その博識ぶりは、民俗学者の柳田國男においても一目を置く存在であった。

熊楠の標本や彩色図譜は4500点に及び、それは今も色褪せることなく、菌類、粘菌類のめくるめく世界を形成している。

『素晴らしき、きのこの世界』は、きのこについてのドキュメンタリーだが、そのとっかかりとしては、「きのこは植物ではない」というところから始まる。

最近、テレビで、原木栽培の椎茸の生育に雷が与える影響を検証した番組を観る機会があった。自然現象がもたらす影響については、以前から見聞きしていたが、漠然とした認識では、雷=放電が影響しているのでは?というものだった。ところが実験結果では、椎茸の生育に影響を与えるのは、雷の "音" だと確定された…これには少々驚いた。きのこは奥が深い!

映画は興味あふれる、きのこの生態を美しいビジュアルで見せる。菌類学者や、ジャーナリストや、フードライターが登場して、きのこの世界を紹介していく。ところが、きのこ、菌類の食物だけにとどまらない可能性に言及すると、テーマは微妙にズレはじめる。

がんやアルツハイマー病の治療に役立つ可能性。あるいは環境汚染の浄化に役立つ、などなど、キノコパワーは世界を救う…。

マジックマッシュルームって…⁈ 何だか思わぬ世界に引き込まれ、違和感の胞子が増殖する展開に困惑する。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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