岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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きのこの素晴らしさがよくわかる、妖しく美しいドキュメンタリー

2021年11月08日

素晴らしき、きのこの世界

© 2018, Fantastic Fungi, LLC

【出演】ポール・スタメッツ、マイケル・ポーラン、ユージニア・ボーン
【監督】ルイ・シュワルツバーグ

タイムプラスの撮影技法とCGとの連携で、驚異の映像が展開

新型コロナウィルスによる巣ごもり需要で、シイタケ等を自宅で手軽に栽培できる「キノコ栽培キット」が人気になっているそうだ。キノコの種類によって違うが、キットをセットしてから1週間から3週間で食べ頃になるらしい。せっかちな人にも頃良い栽培時間だ。

本作は、きのこや菌類の奥深さを、ビジュアル的な部分と学術的な分野の双方で実にわかりやすく描いていく。ホントにそうなのかよ!という眉唾的なところや、そこまで言っていいのかよ!という怪しげな部分まで含めて面白く観ることができる。

まずはビジュアル。

一定の間隔で撮影した静止画を、つなぎ合わせて映像にする"タイムラプス"という撮影技法とCGとの連携は、驚異の映像となって観客の眼を見開かせてくれる。

きのこのカサや軸がみるみる成長していく流麗な様子、大地の下を菌糸が繋いでいくネットワークの壮大さ。華麗で鮮やかな映像は、怪しい世界へ引きずり込まれるかのようだ。

そして学術的な分野である。

菌類学者のポール・スタメッツは、きのこや菌類が食物としてだけでなく、アルツハイマーやがんなどの治療、プラスチックの分解や新しいバイオ燃料の生成など、人類の生存に重要な役割を担っているのだと説いていく。

さらに母親の乳がんが治ったり、本人の吃音も克服できべらべら喋れるようにもなる。ここまでくるとスピリチュアルな世界だ。

そしてヒッピーたちが乱用してイメージダウンしたというマジックマッシュルームに焦点をあてる。うつ病に効果的で緩和医療にも役立つ。いいことづくめだけど、幻覚や副作用はどうよ?と、意地悪な質問がしたくなってくる。

しかしながら菌類の無限の偉大さ、人類と菌類との繋がり、進化の歴史は、映画を見ていて良い勉強になるのだ。

可能性と希望を秘めたきのこや菌類の素晴らしさがよくわかる、怪しく、もとい妖しく美しいドキュメンタリー映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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