岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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トーベが持っていた情熱やバイタリティ、反骨精神を描いた映画

2021年11月01日

TOVE /トーベ

© 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved

【出演】アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ロニー
【監督】ザイダ・バリルート

「自分らしく生きる」。ムーミンの世界観を解明してくれる

私のものの見方や考え方は、小学生の頃に観ていた「ひょっこりひょうたん島」と「ムーミン」が原点だと思っている。いま思えば両作品とも「自分らしく生きる」「多様性を尊重する」がテーマであり、いい道徳の教科書であった。

本作は、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの半生を描いた映画であるが、私にとっては、多大な影響を受けた「ムーミン」の世界観は、いったいどうやって作られていったのかを解明してくれた答え合わせの映画である。

トーベ(アルマ・ポウスティ)は第二次大戦の末期、戦争の残酷な現実から逃れるように、可愛らしいおとぎ話を執筆し始める。美しい自然、ほのぼのとした日常、個性豊かなキャラクターたち。そこには戦争に反対し平和を願う彼女の精神が込められていた。

しかし彫刻家の父からは「芸術ではない」と決めつけられてしまう。彼女は反発しながらも自分の生きる道を見つけ、次第に世間から認められていく。

実人生では情熱的に恋をしていくトーベ。彼女にとって恋する人の性別は関係ない。

そしてその人たちは、ムーミンの登場人物のモデルとなっていく。

まずは最も人気が高く私も大好きなスナフキン。旅を愛し、自由を謳歌し、孤独を楽しむ哲学者だ。これはトーベが不倫関係にあった国会議員で社会主義者のアトス・ヴィルタネン(シャンティ・ローニー)。

聡明で、さまざまな問題を解決する知恵を持ったトゥーティッキ(おしゃまさん)。これは彼女が生涯のパートナーとなったグラフィックアーティストのトゥーリッキ・ピエティラ(ヨアンナ・ハールッティ)だ。

自分自身はトフスランで、同性愛の舞台監督が仲良しのビフスラン。

もちろんムーミンパパ&ムーミンママは彼女の両親である。

女性の監督であるザイダ・バリルートは、トーベが持っていた情熱やバイタリティ、反骨精神を称賛し共感するように描いていく。女性賛歌の映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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