岐阜新聞 映画部

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私たちには何が出来るのか?ジェノサイドを描く大変厳しい映画

2021年10月25日

アイダよ、何処へ?

© 2020 Deblokada / coop99 filmproduktion /Digital Cube / N279 / Razor Film / Extreme Emotions / Indie Prod / Tordenfilm / TRT / ZDF arte

【出演】ヤスナ・ジュリチッチ、イズディン・バイロヴィッチ
【監督】ヤスミラ・ジュバニッチ

ついこの間まで仲良くしていた隣人に対する卑劣な行為

2021年、中国による新疆ウイグル自治区での弾圧を、アメリカが「ジェノサイド(大量虐殺)」としたことで、あらためて「ジェノサイド条約」に注目が集まっている。

ナチスによるユダヤ人虐殺などの反省から、1948年に国連で採択されたこの条約であるが、今までにジェノサイドとして認定されたのは、1975年から1979年までのカンボジアでのポル・ポト政権による虐殺、1994年のルワンダでのツチ系住民の虐殺、そして本作の主題である1995年のスレブレニツァの虐殺の3つである。ちなみに日本政府は、国内法との整合性を理由に批准していない。

チトー時代のユーゴスラヴィアは、、旧ソ連には従わず独自の社会主義を貫き、多民族国家でありながら融和が成し遂げられていたが、ソ連崩壊後は四分五裂の状態となってしまった。

多民族が複雑に居れこむボスニア・ヘルツェゴヴィナにおいては、独立を問う国民投票をボイコットしたセルビア人(セルビア正教徒)が、ボシュニャク人(イスラム教徒)を「民族浄化」と称して大量殺戮の暴挙に出ていた。ついこの間まで仲良く共存していた隣人に対する卑劣な行為である。

この映画の主人公アイダ(ヤスナ・ジュリチッチ)は、ボシュニャク人であるが、駐在する国連軍の通訳として、それぞれの民族や機関の間を取り持っている。

彼女はその特権をいかして、家族を殺戮の現場から逃れさせようと必死で工作をする。その行為を誰が非難出来ようか! 国連軍だって同じだ。冷酷無比なムラヴィッチ将軍率いるセルビア人勢力に包囲されて、ごく少数の国連軍に何が出来ようぞ。自分の命を守るのを最優先に考えて何が悪い!

女性監督のヤスミラ・ジュバニッチ監督は、無理矢理トラックに乗せられ200m先で銃殺されている緊迫した様子を、ドキュメンタリーと見紛う演出で描き切っている。

私たちには何が出来るのか?大変厳しい映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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