岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません! B! くすぐりあり爆笑アリ。大人のためのブリティッシュコメディー 2021年09月29日 ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません! © BLITHE SPIRIT PRODUCTIONS LTD 2020 【出演】ダン・スティーヴンス、レスリー・マン、アイラ・フィッシャー、ジュディ・デンチ 【監督】エドワード・ホール インチキかホンモノか?それとも魔女か? 本作は、先妻の幽霊(レスリー・マン)と後妻(アイラ・フィッシャー)の間で翻弄されるスランプの小説家(ダン・スティーヴンス)を主人公に、彼が書いたベストセラーの秘密が暴露されるというファンタスティックコメディである。 映画は安定感のある面白さで、シュールで少し馬鹿げているブリティッシュジョークを中心に、くすぐりあり爆笑アリで最後まで楽しませてくれる。 そもそも本作は、ノエル・カワードの名作戯曲が原作で、デヴィッド・リーンが映画化(日本公開題名『陽気な幽霊』)していたのは鑑賞後に知ったのだが、この堂々たる安定感は、今までどこかで見てきたようなデジャヴ感に起因しており、様々な先行作品が思い浮かぶ。 先妻の幽霊と後妻が登場するコメディとしては、三遊亭圓生が得意とした古典落語の「三年目」や、室井滋と山口智子に翻弄されるショーケンがいじらしい映画『居酒屋ゆうれい』(1994)。ノーベル賞作家、実は妻がゴーストライターだったという『天才作家-40年目の真実‐』(2018)。 世に知られた有名なお話を、「二番煎じ」とか「ありきたり」という紋切型の感想に終わらせないのは、監督の腕の見せ所だ。TVシリーズ「ダウントン・アビー」のエドワード・ホール監督は、テレビっぽいべたな笑いや説明セリフの多い演出ながら、ファンタジーな部分を何の照れもなく描き出し、劇場で観るにふさわしい大人のコメディーに仕上げている。 ストーリーに新鮮味がない分、舞台となる豪邸や中の調度品、役者が着用する洋服など見るべきものも多く、遠くに見えるホープ・ギャップの白い崖などロケ地も素晴らしい。 さらに手あかのついたお話に生命を与える役者の演技。主役の3人も芸達者だが、何と言っても怪しげな霊媒師アルカティを演ずるジュディ・デンチが素晴らしい。インチキかホンモノか?というより、魔女にしか見えないのだ。 結構笑えます。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター 4Kで甦る 憎悪の泥に塗れた官能的な愛の物語 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター ジェーン・カンピオン監督の最高傑作、完璧な作品 2024年04月24日 / RED SHOES/レッド・シューズ オーストラリア発バレエ舞台の成長物語 more 2021年12月22日 / 【思い出の映画館】千日前国際シネマ(大阪府) 戦後、難波の映画街で多くの日本映画を送りつづけた 2022年04月13日 / 長崎セントラル劇場(長崎県) 父から引き継ぐ映画館で映画の灯を守り続ける。 2019年01月30日 / 御成座(秋田県) 街の人たちの勘違いから復活した秋田の映画館 more
インチキかホンモノか?それとも魔女か?
本作は、先妻の幽霊(レスリー・マン)と後妻(アイラ・フィッシャー)の間で翻弄されるスランプの小説家(ダン・スティーヴンス)を主人公に、彼が書いたベストセラーの秘密が暴露されるというファンタスティックコメディである。
映画は安定感のある面白さで、シュールで少し馬鹿げているブリティッシュジョークを中心に、くすぐりあり爆笑アリで最後まで楽しませてくれる。
そもそも本作は、ノエル・カワードの名作戯曲が原作で、デヴィッド・リーンが映画化(日本公開題名『陽気な幽霊』)していたのは鑑賞後に知ったのだが、この堂々たる安定感は、今までどこかで見てきたようなデジャヴ感に起因しており、様々な先行作品が思い浮かぶ。
先妻の幽霊と後妻が登場するコメディとしては、三遊亭圓生が得意とした古典落語の「三年目」や、室井滋と山口智子に翻弄されるショーケンがいじらしい映画『居酒屋ゆうれい』(1994)。ノーベル賞作家、実は妻がゴーストライターだったという『天才作家-40年目の真実‐』(2018)。
世に知られた有名なお話を、「二番煎じ」とか「ありきたり」という紋切型の感想に終わらせないのは、監督の腕の見せ所だ。TVシリーズ「ダウントン・アビー」のエドワード・ホール監督は、テレビっぽいべたな笑いや説明セリフの多い演出ながら、ファンタジーな部分を何の照れもなく描き出し、劇場で観るにふさわしい大人のコメディーに仕上げている。
ストーリーに新鮮味がない分、舞台となる豪邸や中の調度品、役者が着用する洋服など見るべきものも多く、遠くに見えるホープ・ギャップの白い崖などロケ地も素晴らしい。
さらに手あかのついたお話に生命を与える役者の演技。主役の3人も芸達者だが、何と言っても怪しげな霊媒師アルカティを演ずるジュディ・デンチが素晴らしい。インチキかホンモノか?というより、魔女にしか見えないのだ。
結構笑えます。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。