岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品Summer of 85 B! 甘く切ないひと夏の恋。純度100%のボーイ・ミーツ・ボーイ映画 2021年09月20日 Summer of 85 © 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES 【出演】フェリックス・ルフェーヴル、バンジャマン・ヴォワザン、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、メルヴィル・プポー 【監督・脚本】フランソワ・オゾン ヘッドフォンから聞こえる「セイリング」。素敵すぎてドキドキする 舞台はドーバー海峡に面する海沿いの街、ル・トレポール。なだらかな丘の前に広がる白い砂のビーチと柔らかく優しい海に誘われて、少年はひと夏のアバンチュールを経験する。恋する相手がたまたまカッコいい男の子だったというだけで、甘酸っぱい十代の恋に何ら変わりはないのだ。 本作は、巨匠でありながらクセモノ映画が多いフランソワ・オゾン監督が、ティーンエイジャーの少年同士の恋を思いっきりストレートに描いた私家版みたいな映画である。オゾンの少年時代の夢や憧れを大切にフィルムに焼き付けたような作品だ。 主役は、まだ恋愛の意味すら知らない無防備な16歳の美少年アレックス(フェリックス・ルフェーベル)。リヴァー・フェニックスと見紛うほどの完璧な容姿である。 彼が恋するのは、18歳のアグレッシブなイケメン男子・ダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)。少年から青年への一瞬の輝きが、眩しく輝いてみえる。 オゾン監督は、風光明媚な景色の中で、若鮎のような少年の裸体を愛おしがるように映しとっていく。オゾン監督の趣味か願望か、2人の少年のイチャイチャぶりはごく自然で夏の光線に照らし出される。 しかしながらチョットした行き違いから、2人の少年は永遠の別れを迎えてしまう。そして少年は原作のタイトル「おれの墓で踊れ」をまさに実行し、遥かな思い出の中に閉じ込めていくのだ。 美しいシーンが目白押しだが、中でも2人がクラブで激しく踊る場面は秀逸だ。幸せな時間を噛みしめるように目を閉じたアレックスの背後からダヴィドがそっと近づき、彼にさっとヘッドフォンをつける。すると喧騒は一瞬で遠ざかり、ロッド・スチュワートの「セイリング」が優しく流れる。ソフィー・マルソーの映画『ラ・ブーム』にオマージュを捧げた名場面で、観ていて素敵すぎてドキドキしてきた。 甘く切ないひと夏の恋。純度100%のボーイ・ミーツ・ボーイ映画だ。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2023年02月07日 / チーム・ジンバブエのソムリエたち ワインのない国から世界に挑戦した男たちのドキュメンタリー 2023年02月07日 / チーム・ジンバブエのソムリエたち 耳学問で学んだ黒人難民チームの結果は如何に? 2023年02月06日 / 泣いたり笑ったり 避暑地に集う2つの家族の騒動記 more 2019年08月21日 / 松竹座(香川県) 名作『二十四の瞳』の舞台で、映画に浸る一日を過ごす 2022年02月09日 / 岩波ホール(東京都) エキプ・ド・シネマの想い出に感謝を込めて。 2018年04月04日 / テアトルサンク(福井県) 映画愛に満ち溢れたロビーで、自然と気分も高まる more
ヘッドフォンから聞こえる「セイリング」。素敵すぎてドキドキする
舞台はドーバー海峡に面する海沿いの街、ル・トレポール。なだらかな丘の前に広がる白い砂のビーチと柔らかく優しい海に誘われて、少年はひと夏のアバンチュールを経験する。恋する相手がたまたまカッコいい男の子だったというだけで、甘酸っぱい十代の恋に何ら変わりはないのだ。
本作は、巨匠でありながらクセモノ映画が多いフランソワ・オゾン監督が、ティーンエイジャーの少年同士の恋を思いっきりストレートに描いた私家版みたいな映画である。オゾンの少年時代の夢や憧れを大切にフィルムに焼き付けたような作品だ。
主役は、まだ恋愛の意味すら知らない無防備な16歳の美少年アレックス(フェリックス・ルフェーベル)。リヴァー・フェニックスと見紛うほどの完璧な容姿である。
彼が恋するのは、18歳のアグレッシブなイケメン男子・ダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)。少年から青年への一瞬の輝きが、眩しく輝いてみえる。
オゾン監督は、風光明媚な景色の中で、若鮎のような少年の裸体を愛おしがるように映しとっていく。オゾン監督の趣味か願望か、2人の少年のイチャイチャぶりはごく自然で夏の光線に照らし出される。
しかしながらチョットした行き違いから、2人の少年は永遠の別れを迎えてしまう。そして少年は原作のタイトル「おれの墓で踊れ」をまさに実行し、遥かな思い出の中に閉じ込めていくのだ。
美しいシーンが目白押しだが、中でも2人がクラブで激しく踊る場面は秀逸だ。幸せな時間を噛みしめるように目を閉じたアレックスの背後からダヴィドがそっと近づき、彼にさっとヘッドフォンをつける。すると喧騒は一瞬で遠ざかり、ロッド・スチュワートの「セイリング」が優しく流れる。ソフィー・マルソーの映画『ラ・ブーム』にオマージュを捧げた名場面で、観ていて素敵すぎてドキドキしてきた。
甘く切ないひと夏の恋。純度100%のボーイ・ミーツ・ボーイ映画だ。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。