岐阜新聞 映画部

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スペイン内戦で難民となった画家の実話アニメ化

2021年09月16日

ジュゼップ 戦場の画家

©️Les Films d'Ici Méditerranée - France 3 Cinéma - Imagic Telecom - Les Films du Poisson Rouge - Lunanime – Promenons - nous dans les bois - Tchack - Les Fées Spéciales - In Efecto - Le Mémorial du Camp de Rivesaltes - Les Films d'Ici - Upside Films 2020

【監督】オーレル

抗う人 服従する人 故郷を追われた人 信念を貫く人

スペイン内戦は1936年にはじまった。マヌエル・アサーニャ率いる共和国派人民戦線政府(=左派)と、フランシスコ・フランコを中心にした反乱軍(=右派)の争いだが、戦争としての構図は複雑で、反ファシズムである人民戦線をソビエトとメキシコが支援し、フランコ側をドイツ、イタリア、ポルトガルが支持した。その後、共和国には国という枠ではない、国際旅団が加わり、フランコ側にはアイルランド旅団が参戦している。

1939年、長く続いたスペイン内戦も終息を迎えようとしていた頃、フランスの国境付近には、スペインから逃れ難民となった人々を集めた強制収容所が存在していた。

この映画の主人公ジュゼップ・バルトリは、1910年、バルセロナに生まれた。新聞のイラストレーターとして働いていた折、イラストレーター組合と関係する労働総同盟の設立に関わった。スペイン内戦が始まった36年、共和国派のカタルーニャ共産党の部隊でアラゴン地方で戦ったが、戦況が不利に傾いた39年、国境を越え、フランスに亡命し、強制収容所に収容された。

『ジュゼップ 戦場の画家』は、難民としてフランスに逃れ、強制収容所で苦難の日々を送ることになるこの画家の物語をアニメーションで描いている。

スペイン内戦勃発当時、フランス政府は共和国派を支持していた。戦況が激化した際試みた平和調停が不調に終わったことから、次第に不干渉主義政策に転じた。強制収容所は不良外国人の流入を止め、治安を維持するという目的を掲げ設置された。収容された難民(多国籍)は50万人に達した。

有刺鉄線の柵で閉ざされた収容所。重く垂れ込めた雲に覆われた空の下、スケッチをするジュゼップの姿。淡い色調のアニメのタッチはあくまでも素朴で、派手な動きはないが、過酷な環境下に置かれた苦渋や辛さはひしひしと伝わってくる。そして、ある日、そこで芽生えるフランス憲兵との友情のエピソードは胸を打つ。また、後半、メキシコへの亡命後のフリーダ・カーロとの恋も描かれる。

アニメによるアプローチは、一時代を知る為に必然となる歴史的背景への易しい道標となる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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