岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

自分らしい人生を送ろうと一歩踏み出した女性を応援する

2021年09月09日

モロッコ、彼女たちの朝

©︎ Ali n' Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions

【出演】ルブナ・アザバル、ニスリン・エラディ
【監督・脚本】マリヤム・トゥザニ

悲劇のヒロインではない。実に生活力があり逞しいのだ

モロッコは、多くの名作映画の舞台になったこともあり馴染みがある。混沌と喧騒のマラケシュ、雄大で静寂なサハラ砂漠、幻想的な青い町シャウエン、そして「君の瞳に乾杯!」のカサブランカ。

私には、映画のロケ地や観光パンフレットでのモロッコのイメージしかなかったが、しかしそこには人が暮らしており、庶民・特に女性は様々な困難を抱えながら生活しているのだと、この映画を観て教えられた。

本作は、イスラム教が国教のモロッコ・カサブランカを舞台に、「シャリア法」により女性の権利を制限したり、女性を従属的な立場に置く法がある中で、自分らしい人生を送ろうと一歩踏み出した女性を応援する、シスターフッド(女性同士の連帯)映画である。

漁師の夫を事故で亡くし、女手ひとつで娘のワルダを育てながら、小さなパン屋を営むアブラ(ルブナ・アザバル)。独立した女性であり、男に頼らなくても生きていけるが、周囲からは「家庭を持ってこそ幸せ」とばかりに再婚しろと勧められている。

そこに現れるのが、未婚で妊娠しているサミア(ニスリン・エラディ)だ。モロッコでは違法でふしだらな女性とされるが、職を求めて田舎を飛び出しカサブランカにやって来る。

この2人が出会い、サミアはアブラの家で居候しながらパン屋を手伝うようになる。サミアは元美容師ながら、パン作りも大変上手でアブラに生地のこね方まで教える。

サミアは、生まれてくる子どもは養子に出さなければいけないと覚悟はしているが、決して悲劇のヒロインではない。実に生活力があり逞しいのだ。

今までは後ろ指を刺されぬよう地味に暮らしていたアブラが、サミアの影響でメイクをしブルーのトップスを着るようになるシーンの素敵なこと。生き返ったみたいだ。

ラストはサミアがアブラの家から赤ん坊を抱えて黙って出ていくシーンで終わる。養子に出すか育てるのか、私の想像は日によって変わるのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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