岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

ひとりの写真家を映画に記述する試み

2021年08月24日

過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道

©︎『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』フィルムパートナーズ

【出演】森山大道、神林豊、町口覚 ほか
【監督・撮影・編集】岩間玄

ポスターに使われているカットは神懸かりの瞬間

菅田将暉…新宿ゴールデン街のとある酒場。彼の主演映画のポスター用写真の撮影待ち。その男はひとりでやって来る。右手には小さなコンパクトデジカメがある。「森山です」その男はポツリと言った。

同じ大阪池田生まれだが、55も歳の離れた男を前に「格好エェ〜!」と感嘆の声がもれる。その時、撮られた写真が、映画『あゝ、荒野』(岸善幸・監督/2017年)のポスターとなる。

「にっぽん劇場写真帖」(1968年)…森山大道の最初の写真集。雑誌で発表した多種多様な写真群を文脈を無視し、断片を連続したイメージとして再構成した実験的な写真集。

『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家森山大道』は、その写真家を追ったドキュメンタリーであり、この写真集「にっぽん劇場写真帖」の復刊プロジェクトが、並行して描かれている。

編集者・神林豊…2000年の月曜社立ち上げ以来、森山に寄り添い、ほぼ1年に1冊のペースで写真集や書籍を刊行している。

造本家・町口覚…切り出された木材から紙が生まれ、次第に本の設計が詳らかになる。紙の手触り、印刷の仕上がり、光と影、モノクロの写真に3色の印刷を施す。

写真家、編集者、造本家は写真集に向き合う。それはまるでジャズのセッションのように見える。

中平卓馬…森山と同じ1938年生まれの写真家。映画中、森山は中平の名前を何度も口にする。「あの時、中平が…」ふたりの間には特別なものが存在していたことがわかる。同志でありライバルだったのか? そういう表現では語りきれない関係性が見える。2015年死去。

映画監督・岩間玄…1996年テレビの美術番組として制作されたのが「路上の犬は何を見たか? 写真家 森山大道 1996」。久しぶりに森山と対峙する。時は流れ、アナログはデジタルへと変わったが、森山大道は4半世紀を経ても変わってはいなかった。軽やかな足取りで街を闊歩する。右手にはコンパクトなデジカメがある。いつの間にか被写体にレンズは向けられ、あっという間にシャッターは切られる。ひたすら格好良い森山大道がそこにいる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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