岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品バケモン B! 「作らない笑い」から「作りこんだ笑い」へ、鶴瓶を追いかけた映画 2021年08月19日 バケモン ©DENNER systems 【出演】笑福亭鶴瓶 【監督】山根真吾 中学・高校時代から底抜けに明るく誰に対してもフレンドリー 『バケモン』を観る前に、山根監督による「これから映画をご覧になるみなさまへ」という動画を観た。 この特別映像では、初の試写会で「上映後、拍手は一切起こらなかった。お通夜のようだった」「私の実感では100人に8人ほど、極少数の人が何かを感じてくれた。あなたは100分の8に入ってくださるだろか?」などとの監督のナレーション。地獄の2時間を覚悟して、東海地区初上映のCINEXで観た。しかしてその結果は? どうやら私は100分の8に入ったようだ。普通に面白い。ホームページの動画からして監督のネタが始まっていたのだ。 映画の中でタモリがいうように、鶴瓶は「自開症」。中学・高校時代から底抜けに明るく誰に対してもフレンドリー。 彼のライフワークである、身の回りで起きた珍事件などを会場のお客さんと交流しながら2時間ノンストップでしゃべる「鶴瓶噺」を見ていると、彼の話術の天才ぶりがよくわかる。 そんな鶴瓶を17年間撮り続けた山根監督がメインに据えたのは、上方落語の最高峰で師匠・松鶴の十八番「らくだ」だ。 2007年ツアーの映像は、この聖域に踏み込んだ歌舞伎座公演を見せていく。欽ちゃんと並ぶ客いじりの天才で「作らない笑いlを信条としてきた彼が、「作り込んだ笑い」に挑む姿は、緊張感が溢れている。しかしイザ舞台に上がると爆笑の渦だ。 2020年のツアーは、コロナでライブ芸術が危機的状況を迎えている中で、マスクのなかでの公演だ。その場その場で臨機応変に対応できる鶴瓶が、しっかり稽古を積んでいく。古典落語に対する敬意が、見ているこちらに伝わってくる。 そして映画は、「らくだ」の世界を紐解いていく。江戸時代の大阪の風俗や流行を基とし、明治の終わり頃、桂文吾が話としてまとめ完成させた経緯を丁寧に説明する。そして鶴瓶の生家を訪ねて彼は思う。まさに「らくだ」の世界がここにあったのだと。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 86% 観たい! (6)検討する (1) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2023年09月26日 / 君は行く先を知らない 暢気なユーモアが緊張に変わるロードムービー 2023年09月26日 / 君は行く先を知らない シリアスな内容を、ユーモアと詩情で包んだ瑞々しい映画 2023年09月25日 / ふたりのマエストロ 指揮者親子のハートフルコメディ more 2018年02月07日 / Cinema KOBE(兵庫県) 映画発祥の地で、映画を愛する常連さんに支えられ… 2020年09月30日 / 新宿武蔵野館(東京都) 創設百周年を迎えた新宿の伝説的映画館 2020年08月19日 / 大心劇場(高知県) 高知の山奥にポツンと佇む懐かしの映画館 more
中学・高校時代から底抜けに明るく誰に対してもフレンドリー
『バケモン』を観る前に、山根監督による「これから映画をご覧になるみなさまへ」という動画を観た。
この特別映像では、初の試写会で「上映後、拍手は一切起こらなかった。お通夜のようだった」「私の実感では100人に8人ほど、極少数の人が何かを感じてくれた。あなたは100分の8に入ってくださるだろか?」などとの監督のナレーション。地獄の2時間を覚悟して、東海地区初上映のCINEXで観た。しかしてその結果は?
どうやら私は100分の8に入ったようだ。普通に面白い。ホームページの動画からして監督のネタが始まっていたのだ。
映画の中でタモリがいうように、鶴瓶は「自開症」。中学・高校時代から底抜けに明るく誰に対してもフレンドリー。
彼のライフワークである、身の回りで起きた珍事件などを会場のお客さんと交流しながら2時間ノンストップでしゃべる「鶴瓶噺」を見ていると、彼の話術の天才ぶりがよくわかる。
そんな鶴瓶を17年間撮り続けた山根監督がメインに据えたのは、上方落語の最高峰で師匠・松鶴の十八番「らくだ」だ。
2007年ツアーの映像は、この聖域に踏み込んだ歌舞伎座公演を見せていく。欽ちゃんと並ぶ客いじりの天才で「作らない笑いlを信条としてきた彼が、「作り込んだ笑い」に挑む姿は、緊張感が溢れている。しかしイザ舞台に上がると爆笑の渦だ。
2020年のツアーは、コロナでライブ芸術が危機的状況を迎えている中で、マスクのなかでの公演だ。その場その場で臨機応変に対応できる鶴瓶が、しっかり稽古を積んでいく。古典落語に対する敬意が、見ているこちらに伝わってくる。
そして映画は、「らくだ」の世界を紐解いていく。江戸時代の大阪の風俗や流行を基とし、明治の終わり頃、桂文吾が話としてまとめ完成させた経緯を丁寧に説明する。そして鶴瓶の生家を訪ねて彼は思う。まさに「らくだ」の世界がここにあったのだと。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。