岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品83歳のやさしいスパイ B! 捜査目線の老人ホーム探訪ドキュメンタリー 2021年08月12日 83歳のやさしいスパイ © 2021 Dogwoof Ltd - All Rights Reserved 【出演】セルヒオ・チャミー ロムロ・エイトケン 【監督・脚本】マイテ・アルベルディ 83歳セルヒオ、潜入捜査官として立つ! "80歳以上、90歳までの男性、IT機器を使える人" この奇妙な求人広告が新聞に掲載される。 応募に集まる老人たちは、誰もがちょっと半信半疑。年寄りに仕事はないというのが当たり前の世の中なのだから…でも、年寄りにも働く意欲はある。精一杯の見栄でスマホを手にするが、どうも操作は怪しい。 この求人広告主は探偵事務所で、その仕事は老人ホームの内部調査。所謂、潜入捜査という任務である。 探偵事務所でも、スマホの操作が覚束ないであろうことは盛り込みづみで、最低限のレクチャーの末、83歳のセルヒオが採用される。 セルヒオ・チャミーは妻に先立たれ、新たな生き甲斐を見つける模索をしていた。幸いにもボケてもいないし、得意ではないが、スマホくらいなら使える自信があった。 「家族が虐待されてはいないかを調べてほしい」〜老人ホームの入居者の親族からのこうした依頼は多いという。 『83歳のやさしいスパイ』はドキュメンタリーではあるが、オープンニングからしばらくは、そのことを忘れさせる。ホームには事前に許可を受けたうえでの撮影なのだが、当然、虐待あるなしの調査であることは伏せられている筈なのだ。内定調査の様子は、まるで劇映画のそれのように、個室に入り、入居者を伺い、スマホのカメラで撮影する。そのセルシオの仕事をドキュメンタリーのカメラが撮影している。何とも不思議な光景なのだ。 誰にでも好かれる人あたりの良いセルシオは、入居者の中に入り込み、打ち解けた会話でホームに同化していく。 ほとんど寝たきり状態の人、鍵の掛けられた入口から外に向けて「家に帰りたいから開けて欲しい」と懇願を繰り返す人。小さな喧嘩があり、恋が生まれる。そこには人生があり、家族との、人との触れ合いを望む人がいる。 セルヒオの人柄そのままに、心がほっこりさせられる不思議なドキュメンタリーである。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (12)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年04月12日 / コヴェナント/約束の救出 手に汗握るヒューマン・サスペンスの秀作 2024年04月12日 / コヴェナント/約束の救出 二つの救出劇が紡ぐ戦火の友情 2024年04月12日 / コヴェナント/約束の救出 危険を顧みない友情とスリリングな逃亡劇の戦争娯楽映画 more 2024年04月17日 / 萩ツインシネマ(山口県) 歴史ある街並みを散策途中、ふと足を止めたくなる。 2022年08月10日 / シネマヴィレッジ8(青森県) リンゴ畑の真ん中にあるシネコンで家族揃って。 2018年04月11日 / 日田シネマテーク・リベルテ(大分県) 山間にある水郷の街で、映画に向き合う至福の時間 more
83歳セルヒオ、潜入捜査官として立つ!
"80歳以上、90歳までの男性、IT機器を使える人" この奇妙な求人広告が新聞に掲載される。
応募に集まる老人たちは、誰もがちょっと半信半疑。年寄りに仕事はないというのが当たり前の世の中なのだから…でも、年寄りにも働く意欲はある。精一杯の見栄でスマホを手にするが、どうも操作は怪しい。
この求人広告主は探偵事務所で、その仕事は老人ホームの内部調査。所謂、潜入捜査という任務である。
探偵事務所でも、スマホの操作が覚束ないであろうことは盛り込みづみで、最低限のレクチャーの末、83歳のセルヒオが採用される。
セルヒオ・チャミーは妻に先立たれ、新たな生き甲斐を見つける模索をしていた。幸いにもボケてもいないし、得意ではないが、スマホくらいなら使える自信があった。
「家族が虐待されてはいないかを調べてほしい」〜老人ホームの入居者の親族からのこうした依頼は多いという。
『83歳のやさしいスパイ』はドキュメンタリーではあるが、オープンニングからしばらくは、そのことを忘れさせる。ホームには事前に許可を受けたうえでの撮影なのだが、当然、虐待あるなしの調査であることは伏せられている筈なのだ。内定調査の様子は、まるで劇映画のそれのように、個室に入り、入居者を伺い、スマホのカメラで撮影する。そのセルシオの仕事をドキュメンタリーのカメラが撮影している。何とも不思議な光景なのだ。
誰にでも好かれる人あたりの良いセルシオは、入居者の中に入り込み、打ち解けた会話でホームに同化していく。
ほとんど寝たきり状態の人、鍵の掛けられた入口から外に向けて「家に帰りたいから開けて欲しい」と懇願を繰り返す人。小さな喧嘩があり、恋が生まれる。そこには人生があり、家族との、人との触れ合いを望む人がいる。
セルヒオの人柄そのままに、心がほっこりさせられる不思議なドキュメンタリーである。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。