岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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人間の狂おしいほどの情熱と、幸せの頂点とは何かを感じ取る映画

2021年08月02日

シンプルな情熱

©2019L.FP.LesFilmsPelléas–Auvergne-Rhône-AlpesCinéma-Versusproduction

【出演】レティシア・ドッシュ、セルゲイ・ポルーニン、ルー=テモー・シオン、キャロリーヌ・デュセイ、グレゴワール・コラン
【監督】ダニエル・アービッド

惜しげもなく裸体をさらけ出し、官能的に演じていく

私が初めて観たロマンポルノは『女教師』(1977)で大学1年のときだ。監督の田中登は当時の映倫の審査基準「性器・恥毛は描写しない」に従いつつ、ギリギリの表現で若き青年の脳髄を刺激してきた。

潮目が変わったのは、1991年東京国際映画祭での『美しき諍い女』。主演のエマニュエル・べアールのヘアは修正されずそのまま上映された。

  翌1992年一般上映されるにあたり税関は「芸術的価値を認める」とし、ほぼ無修正で通過。それに伴い映倫も「性器・恥毛は"原則として"描写しない」と審査基準を改め、事実上解禁された。

『シンプルな情熱』の映倫のレイティングは"R18+(18歳未満は観覧禁止)"。待つ女・エレーヌ役のレティシア・ドッシュと待たせる男・アレクサンドル役のセルゲイ・ポルーニンは、惜しげもなく裸体をさらけ出し、激しい性愛シーンを、手を変え場所を変え官能的に演じていく。40年以上前に観た『女教師』の永島暎子と古尾谷雅人とは比べ物にならないくらいエッチである。

ではこの映画が、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」(猥褻性の三要件-1951最高裁判決)であるのか?

そうかどうかは個人によって違うし、そもそも刑法で取り締まるようなものではない! なんて考えてしまうほど、初老のおじさんにも刺激の強い映画であったことは確かだ。

監督はダニエル・アービッド。女性が素直に欲望を満たすのが何が悪い!との視点で貫かれており、バレエで鍛え抜かれたボルーニンに対する視線に、恥ずかしさはひとかけらも無い。

映画のストーリーなど付け足しであり、人間の狂おしいほどの熱情と幸せの頂点とは何かを感じ取ればいいのだ。劣情だけを高めた映画ではなく、まあそれを求めて鑑賞するのも間違ってはいないが、芸術か?ポルノか?のくくりを超えた映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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