岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

気持ちの侵食を見過ごした熟年夫婦の会話劇

2021年07月06日

幸せの答え合わせ

© Immersiverse Limited 2018

【出演】アネット・ベニング、ビル・ナイ、ジョシュ・オコナー
【監督・脚本】ウィリアム・ニコルソン

あまりに美しい白い断崖 それは夫婦を象徴する

イギリス南部、ロンドンからは列車で1時間半ほどに位置する海岸町シーフォードが舞台。

この町で暮らすグレース(アネット・ベニング)とエドワード(ビル・ナイ)は、結婚から29年を迎えようとしていた。

朝の夫婦の日常。グレースは事細かに、エドワードの行動を解析する様に独り語りだす。そこには気の利かない夫に対する批判があり、ことごとくトゲを感じる。エドワードはそれを受け止めるだけで、反発の様子は見せない。それはいつものことなのだろうか?

夫婦には独立して離れて暮らす息子ジェイミー(ジョシュ・オコナー)がいる。週末、久しぶりの帰郷となるが、それには父エドワードからの要請があった。そこに不安の色を感じたジェイミーの気の重い週末が始まる。

脚本は『グラディエーター』(リドリー・スコット監督/2000年)、『レ・ミゼラブル』(トム・フーパー監督/2012年)を手がけたウィリアム・ニコルソンで、自身の両親との実体験をもとに書かれ、監督も務めている。

エドワードは、ジェイミーに「家を出て行く」ことを告白する。それはグレースとの夫婦間に生じた永年に渡る軋轢が、忍耐の限界に達した末の決断だという。そして新たな恋人がいること、穏やかな今後にはジェイミーの存在は不用となってしまった、というものだった。

ジェイミーは、両親の間にある微妙なすれ違いを感じていて、父親の決断の裏にある気持ちをくみ取ることができた。そして母グレースがこの局面を理解できるか?とのいうことの方が問題だと悟る。

グレースとエドワードの熟年夫婦の会話は生々しい。「気持ちを言葉にして欲しい」グレースと、「言わなくても分かるだろう」とかわすエドワード。これには身につまされる部分も多い。しかし、グレースの行動は、激しやすい性分とはいえ、一線を超えて痛いのが何とも辛い。家族が暮らした町の海岸にある圧倒的に美しい白い断崖は侵食され続けた夫婦の心に見える。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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