岐阜新聞 映画部

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バラ作りの魅力をたっぷりと教えてくれる、満足感大豊作の映画

2021年07月05日

ローズメイカー 奇跡のバラ

THE ROSE MAKER © 2020 ESTRELLA PRODUCTIONS – FRANCE 3 CINÉMA – AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA

【出演】カトリーヌ・フロ、メラン・オメルタ、ファツァー・ブヤメッド、オリヴィア・コート、マリー・プショー、ヴァンサン・ドゥディエンヌ
【監督】ピエール・ピノー

美しいバラの数々を堪能でき、バラの素晴らしさがわかる

映画は観て楽しむだけではない。興味を引かれた事柄をネットや文献で調べて教養を深めれば映画を100倍理解できる。

本作で言えばバラの品種改良だ。今では数万品種のバラが存在するが、原種約200種のうち品種改良に使用されたバラは8種(西洋種4、日本種2、中国種1、中近東種1)+ミニバラの祖先1種ということ。ここから交配させて世界中に広がった訳だが、中でも1867年フランスの育種家ギヨーが作出した「ラ・フランス」は画期的とされ、それ以前の品種を「オールド・ローズ」、それ以降の品種を「モダン・ローズ」と呼び分けるほどである。

このことから「バラはフランスのお家芸(ピエール・ピノー監督談)」と言われる訳だが、そうやって調べたくなるほど本作は私にバラ作りの魅力をたっぷりと教えてくれたのだ。

バラへの愛情と品種改良への情熱は誰よりも深いが、頑固で融通の利かないエヴ(カトリーヌ・フロ)。経営するバラ園は倒産寸前で、大手園芸企業から盛んに買収を持ちかけられている。

そんなバラ園に、労働力を確保するため助手が連れてきたのは、前科者と定職に就けない中年男とコミュ障の女の子。もちろん全員バラ作りは素人である。

このメンバーが、最初はお互い疑心暗鬼で何もかもうまくいかないが、ある事をキッカケに連帯感が出来てきて疑似家族のようになり、絶体絶命の危機から一発大逆転!

正直言って、物語はこの手のパターンの定石通りの展開で、新鮮味は無きに等しく、意外性も驚きもない。逆に、「大手資本の買収は悪だけど、そこから種を盗んでくるのはいい」などとの勝手な屁理屈で映画が動いていくのは、いくらコメディでも半笑いだ。

つまらないわけではない、私にとってお話は付けたしだけ。

美しいバラの数々を堪能でき、なによりバラの品種改良の工程を克明に知ることができ、バラの素晴らしさを教えてくれたこと。満足感は大豊作なのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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