岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

川の青、空の青、薔薇の青。3つの青を背景に、冬子は空を飛ぶ

2021年06月17日

ブルーヘブンを君に

©2020「ブルーヘブンを君に」製作委員会

【出演】由紀さおり、小林豊、柳ゆり菜、本田剛文、大和田獏、寺脇康文
【監督・脚本・原作】秦建日子

「早い、安い、質はそこそこ」を体現したような映画

2000年以降日本各地で整備されたフィルム・コミッションは、現在約350団体あり、世界最多となっているそうだ。撮影時や上映後の聖地・ロケ地巡りなど経済効果を求めて積極的に誘致活動が行われ、地域活性化のキッカケともなっている。

『ブルーヘブンを君に』は、「地方創生ムービー」と銘打たれ、最初から西濃地域を舞台としそこで撮影するのを前提とした町おこし映画である。

主演は由紀さおりさん。共演陣には、東海勢からボイメンの3人(小林豊・本田剛文・田村侑久)や、寺脇康文(岐陽高)、大和田獏(菊里高→名市大)などがいる。

岐阜県をイメージする中から選んだのは、揖斐川・長良川など西濃を代表する河川の"青"、池田山から滑空するハンググライダーを包む空の"青"、冬子(由紀さおり)が品種改良して出来た薔薇の"青"。

映画はこの3つの"青"を背景に、「1人で空を飛びたい」という冬子(ステージ4のがん患者)の夢の実現のために、周りの家族や知り合いが右往左往する話である。吉永小百合さん(末期がん患者役)の『最高の人生の見つけ方』はスカイダイビングだったが、脳みその中身は同じようだ。

ストーリーは単純で、分かりにくさはゼロ。要所要所は、説明セリフ(ドラマを進行させるためだけの普段は絶対使わない不自然なセリフ)で補ってくれるし、観客が「きっとこうなる」と思った通りに話は進んでいく。

出てくる人間は、ヤクザ?を含め、みんないい人ばかりなので、お子様も安心だ。

映画に協力したエキストラさんたちは、ストーリーに全く関係なく、唐突にインド映画みたいに歌って踊るシーンが差しはさまれるので、映っているかどうか確認しやすい。

映画作品というよりも、体験参加型のアトラクションと考えれば何の問題も無い。

『カメラを止めるな!』の中の日暮監督のモットー「早い、安い、質はそこそこ」を体現したような映画だった。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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