岐阜新聞 映画部

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パリ発の改革の息吹は、田舎の花嫁学校をどう変えたか?

2021年06月10日

5月の花嫁学校

©2020 - LES FILMS DU KIOSQUE - FRANCE 3 CINEMA - ORANGE STUDIO - UMEDIA

【出演】ジュリエット・ビノシュ、ヨランド・モロー、ノエミ・ルボフスキー、エドゥアール・ベール
【監督】マルタン・プロボ

今またある、女性は家庭に戻すという風潮に警鐘を鳴らす

本作は、時代の変革期であった1967年~68年、ドイツとの国境に近いフランス北東部アルザス地方の片田舎にある家政学校を舞台に、「良妻賢母」という古い因習から解放されていく少女たちと講師陣の変化と成長を描いたフェミニズム映画である。

ブルボン絶対王政を倒したフランス革命(1789年)では、人間の自由と平等を規定した「人権宣言」が制定されたが、女性の権利は認められなかった。女性参政権の実現は、意外にも日本と同じ1945年と主要国の中では遅い方だ。

農村部出身の少女たちが、高等教育の学校へ進むよりも、「花嫁修業」を目的とした専門学校へ進むのは、裕福な家庭の男性と結婚して農家の厳しい生活から逃れるためだと思うが、彼女たちにとっては疑う余地のない現実だった。

生徒たちは寄宿舎に寝泊まりしながら、2年間みっちりと家事全般を学んでいく。校長のポーレット(ジュリエット・ビノシュ)は、ルールに厳しく例外は認めない。映画は今から50年以上前の保守的な価値観を、片意地貼らずに面白おかしく紹介していく。

しかしそんな歴史のある学校でも、パリから始まった政治改革や男女平等の価値観の影響は徐々に浸透してきて、自由に振る舞ったり自己主張をする女生徒が出現するようになる。女性の人生は、親が決めた相手と結婚するためだけにあるのか?

女生徒たちの変化は、第二次大戦時に生き別れになった元恋人アンドレと再会したポーレットの意識も変化させる。ナチの迫害から逃れた過去がダブってくるのだ。

フィナーレは、5月革命が勃発したパリを目指して自分たちの足で歩いていくミュージカルシーン。大団円の幕切れである。

映画中にある羽毛の中で舞い踊るシーンは、寄宿舎の少年の反乱を描いた1933年製作『新学期 操行ゼロ』へのオマージュだが、現在また女性は家庭に戻すという風潮があるらしい。そんな流れに警鐘を鳴らしているのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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