岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

新米先生と子どもたちの交流の物語

2021年05月03日

ブータン 山の教室

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【出演】シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン、ペム・ザム
【監督・脚本】パオ・チョニン・ドルジ

幸福とは何かを託す未来への提言

ブータン王国はヒマラヤ山脈の東端に位置する仏教国で、亜熱帯平原から高地、山地と変化に富んだ地形、気候を有している。首都ティンプーは標高2320メートルにある。

ブータンと言えば、"幸福な国"というイメージが定着しているが、これは1970年代に第4代国王シグメ・シンゲ・ワンチュクが、GNP =国民総生産よりも、GNN =国民総幸福の方が重要であると発言したことによる。その後、2008年には「国家はGNNの追求を可能とする諸条件を推進させることに努めなければならない」と憲法に制定した。

新米教師のウゲン(シュラップ・ドルジ)は、ある日指導教官に呼び出され、ルルナへの単身赴任を強制的に命令される。ウゲンはこのまま教師を続けることより、ミュージシャンとしてオーストラリアへ行く夢を実現したいと動き出していたが、公務員としての義務を果たすため、ウゲン行きに渋々従うことになる。

ルルナはティンプーの北東にあり、標高は4800メートルに達する。ウゲンは赴任先の村から派遣された住民に案内され出発するが、その行程には1週間以上を要する。ウゲンのスマホ依存の様子は我々と変わらない、山道を進むうち、ネットに繋がらなくなることに、失望落胆していく。

ウゲンを最初に驚かせるのは、遠い村の入口まで総出で出迎えてくれる村人たちで、赴任してきた教師に対する期待の大きさがうかがえる。

しかし、街暮らしのウゲンには繋がらないスマホや電気の供給不足はストレスでしかなく、廃屋のような学校を見て気力は萎えてしまう。

『ブータン 山の教室』は若い教師が、村の子どもたちとふれあい交流していくことで、自らも成長していく姿を描いている。

ヒマラヤの氷河が迫る高地の雄大な大自然。辺境の人々の慎ましくも清い生活。そして何より、学ぶことの歓びを全身で表す子どもたちの姿が熱く胸を打つ。ブータンの子どもたちの純粋で礼儀正しい佇まいは本当に美しい!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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