岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

欲望とプライドが交錯する絵画をめぐる異色ドキュメンタリー

2021年04月05日

レンブラントは誰の手に

©2019DiscoursFilm

【出演】ヤン・シックス、エリック・ド・ロスチャイルド男爵、ターコ・ディビッツ、エルンスト・ファン・デ・ウェテリンク教授、バックルー公爵
【監督・脚本】ウケ・ホーヘンダイク

ところで真贋は如何に?

 レンブラントは1606年、オランダ南部ライデンに生まれた。ライデンはオランダの州にあたり、オランダの正式な国名ネーデルランドが日本に伝わった時、"ネーデルランドのライデン"が短くなり訛ったものだという。この地には大航海時代からの交易交流の名残で、シーボルト・コレクションを所蔵する日本博物館シーボルトハウスや国立民族学博物館があり、日本との縁が深い。

 レンブラントの生家は父が製粉業を営む中流の家柄で、都市貴族だったパン屋の娘と結婚しており、裕福な家庭だったと想像できる。レンブラントはその夫婦の9番目の子どもだった。

 1620年、14歳でラテン語学校からライデン大学への進学を認められ、両親の意向もあったことから法律家を目指した。しかし、そこで学んだのは数ヶ月で、すぐに画家を志向したとされている。当時は美術学校はなく、イタリア留学の経験を持つ歴史画家ヤーコプ・ファン・スヴァーネンブルフに弟子入りした。このあたりの経緯は諸説あり確かなことはわからない。

 アムステルダムでの修行から生家に戻って工房を開いたのは1625年のことで、その時、19歳、早世の天才ぶりがうかがわれる。

 レンブラントはイタリアのカラヴァッジョ、フランスのルーベンス、スペインのベラスケスなどとともに、バロック絵画を代表する作家とされ、美術に詳しくなくても、その名を耳にしたことはあるだろう。

 『レンブラントは誰の手に』は、2018年、44年ぶりの新発見とニュースにもなった肖像画をめぐるドキュメンタリーだが、その視点は絵画そのものから、それを所有する人、あるいは所有者となりたいと切望する人( =国、あるいは美術館)に焦点があてられる。

 ロスチャイルド男爵が税金対策で手放す2枚の肖像画。バックルー公爵が溺愛する肖像画。画商ヤン・シックスが真作と確信して競売で落札した肖像画。欲望とプライドが交錯する人間喜劇は劇映画を超える面白さに溢れている。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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