岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品大コメ騒動 B! 102年前、日本、富山で起きた女一揆 2021年03月08日 大コメ騒動 ©︎2021「大コメ騒動」製作委員会 【出演】井上真央、室井 滋、夏木マリ、立川志の輔、左 時枝、柴田理恵、鈴木砂羽、西村まさ彦、内浦純一、石橋蓮司 【監督】本木克英 運び出す米はあっても食べる米がない矛盾が怒りに変わる 一揆とは、日本では何らかの理由により、心を共にした"共同体"が、目的を達成するために行動を起こす事を言う。その語源は「孟子」に由来すると言われ、"揆"は、やり手、手段のことをさし、それをひとつにするという意味である。その歴史は南北朝時代の荘園一揆がはじまりとされる。これには武家の台頭が関係していて、要求を通すためには武装することが必要だった。戦国時代になると寺社勢力を基盤とする一揆が目立つようになるが、これには門徒以外の参加者もいたため、一揆の性格は複雑化した。江戸時代になると、"島原の乱"以降、幕府は百姓が徒党を組むことを禁じたため、一揆は表向きはないとされているが、直訴や逃散などの武力をともなわないかたちで継続された。中期以降は、百姓を中心にした一揆は、散発的ではあるものの、随時随所で発生している。農民は鎌や鍬の農具で武装したとされるが、一揆は治世の失敗ととられかねないため、その実像は隠蔽された部分が多い。 『大コメ騒動』は1918(大正7)年、富山県の漁師町で起きた一揆の如き"米騒動"を描いている。 松浦いと(井上真央)は、17歳で漁師の利夫のもとに嫁いできた。3人の子どもをさずかり、家事、育児のほかにも、米を浜へと担ぎ運ぶ女仲仕として肉体労働をしている。夫は苦しい家計のため、出稼ぎに出かけて行く。 浜の"おかか"たちは、夫のため、毎日一升のコメ=メシを詰めた弁当を作り、漁へ送り出していた。ここのところ、米の値は日に日に高騰し、仲仕の仕事で得る日銭では、満足な米を買うことができない。そこでおかかたちは、町のカリスマ的なリーダー"清んさのおばば"をかつぎ出し、米の積み出しを阻止すべく蜂起する。 史実をもとにした話だが、登場人物は外見のデフォメルを除けば、定型の域をでない。妬みや裏切りが絡む人間関係にも新味は感じられない。新聞社を巻き込んだ社会派への切り込みも中途半端。でも、このご時世、逞しき女性が102年前の日本にいたことを知る意味はあり。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2019年03月27日 / シネマノヴェチェント(神奈川県) 埋もれた映画に愛の手を…商店街の中のこだわり名画座 2020年06月10日 / ジストシネマ田辺(和歌山県) 紀伊半島の港町にある地元密着型の映画館 2022年08月24日 / 元町映画館(兵庫県) 淀川長治が育った映画の街に再び映画の灯が甦った。 more
運び出す米はあっても食べる米がない矛盾が怒りに変わる
一揆とは、日本では何らかの理由により、心を共にした"共同体"が、目的を達成するために行動を起こす事を言う。その語源は「孟子」に由来すると言われ、"揆"は、やり手、手段のことをさし、それをひとつにするという意味である。その歴史は南北朝時代の荘園一揆がはじまりとされる。これには武家の台頭が関係していて、要求を通すためには武装することが必要だった。戦国時代になると寺社勢力を基盤とする一揆が目立つようになるが、これには門徒以外の参加者もいたため、一揆の性格は複雑化した。江戸時代になると、"島原の乱"以降、幕府は百姓が徒党を組むことを禁じたため、一揆は表向きはないとされているが、直訴や逃散などの武力をともなわないかたちで継続された。中期以降は、百姓を中心にした一揆は、散発的ではあるものの、随時随所で発生している。農民は鎌や鍬の農具で武装したとされるが、一揆は治世の失敗ととられかねないため、その実像は隠蔽された部分が多い。
『大コメ騒動』は1918(大正7)年、富山県の漁師町で起きた一揆の如き"米騒動"を描いている。
松浦いと(井上真央)は、17歳で漁師の利夫のもとに嫁いできた。3人の子どもをさずかり、家事、育児のほかにも、米を浜へと担ぎ運ぶ女仲仕として肉体労働をしている。夫は苦しい家計のため、出稼ぎに出かけて行く。
浜の"おかか"たちは、夫のため、毎日一升のコメ=メシを詰めた弁当を作り、漁へ送り出していた。ここのところ、米の値は日に日に高騰し、仲仕の仕事で得る日銭では、満足な米を買うことができない。そこでおかかたちは、町のカリスマ的なリーダー"清んさのおばば"をかつぎ出し、米の積み出しを阻止すべく蜂起する。
史実をもとにした話だが、登場人物は外見のデフォメルを除けば、定型の域をでない。妬みや裏切りが絡む人間関係にも新味は感じられない。新聞社を巻き込んだ社会派への切り込みも中途半端。でも、このご時世、逞しき女性が102年前の日本にいたことを知る意味はあり。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。