岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

富山の“おかか”たちの必死の叫びであり、生活闘争だ

2021年03月08日

大コメ騒動

©︎2021「大コメ騒動」製作委員会

【出演】井上真央、室井 滋、夏木マリ、立川志の輔、左 時枝、柴田理恵、鈴木砂羽、西村まさ彦、内浦純一、石橋蓮司
【監督】本木克英

スペインかぜの流行、平民宰相の誕生は今とそっくり

 昨年の夏の甲子園はコロナの影響で中止となったが、それは米騒動・戦争に続いて3回目のことだった。

 米「騒動」。普通の感覚では「騒動」とは「人びとが騒ぎ立てること」という認識だが、この映画をみていると単なる『暴動』ではなく、富山の“おかか”たちの必死の叫びであり、生活闘争であったことがよくわかる。全国ではこれに便乗して騒ぎ立てるだけの暴徒もいたが、実際には女性による市民運動であった。1960年の安保闘争を政権側は安保騒動と言ったが、これに倣えば「米騒動」でなく「米闘争」である。

 この映画が素晴らしいのは、闘争の歴史認識で貫かれている点だ。

 1918年、第一次大戦最終盤の世界的な食糧不足及び、その前年に起こったロシア革命に対する軍事干渉“シベリア出兵”を見越した軍用米の買占めは、米価の暴騰をまねいた。

 映画は家計を預かる“おかか”たちが、無為無策の政府と自社の利益のみを考える米問屋に対し、「適正価格で売れ」と、やむにやまれず直接行動に出たのだと描いてる。

 そして主人公の松浦いと(井上真央)の設定。引っ込み思案だが勉強が得意で、社会の情勢もよく知っている点。自分たちの行動に対し確固とした裏付けがあることだ。だからこそ、彼女たちのリーダー格である清んさのおばば(室井)の信用を得ることができたのだ。

 コメディの名手で富山出身の本木克英監督が描いた「大コメ騒動」。ややもすればお堅い真面目な映画になってしまう題材だが、それを社会派コメディーに仕立て上げた。さすがの本木監督、見やすくてとても面白い。

 1918年は米騒動の責任をとる形で寺内藩閥内閣が総辞職し、初の政党内閣で平民宰相といわれた原敬内閣が成立した年。さらにスペインかぜの大流行が始まった年でもある。そう、今の時代とそっくりなのだ。

 世の中を変えていくには、声をあげていくしかないという監督からのメッセージである。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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