岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

オペラの認知はここから始まった

2021年02月15日

甦る三大テノール 永遠の歌声

© C Major Entertainment2020

【出演】ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ズービン・メータ、ニコレッタ・マントヴァーニ、マリオ・ドラディ、ラロ・シフリン、ポール・ポッツ ほか
【制作】エルマー・クルーゼ

ライバル意識を超えて競演を楽しむ姿が清々しい

 オペラはルネッサンスの後期、16世紀末にイタリア・フィレンツェで成立したとされている。古代ギリシャ劇の復興という試みから、音楽と演劇を合わせた歌劇が基本的な形態となっている。当初はギリシャ悲劇にある高尚なイメージが先行したが、次第に世俗的な大衆受けする喜劇的な要素を取り込んでいった。18世紀にはナポリを中心に隆盛を極め、舞台装置や衣装も煌びやかなものになり、劇場は王侯貴族や裕福な市民の社交場となり娯楽として発展した。

 日本では"歌舞"という演劇形態が古くからあり、それとは別に"歌劇"は発展した。これはオペレッタとして、早くに演劇に取り入れられたが、それは"別もの"に過ぎない。そもそも日本では、ミュージカルですら、一般的に受け入れられるようになったのは、まだ、最近のことである。本格オペラは敷居が高く、大衆に受け入れられているとは言い難い。

 昨年公開された『パヴァロッティ 太陽のテノール』(ロン・ハワード監督)は、神の声を持つと言われたイタリアのオペラ歌手ルチアーノ・パヴァロッティの生涯を追ったドキュメンタリーであり、『甦る三大テノール 永遠の歌声』に登場する伝説の舞台も挿入されていた。

 パヴァロッティは1937年、イタリア・モデナに生まれた。61年に声楽コンクールで優勝し、舞台にデビューしている。64年にはレコードデビューも果たし、早くに世界から認められた。

 プラシド・ドミンゴは1941年、マドリードに、ホセ・カレーラスは1946年、バルセロナに、ともにスペインに生まれ、オペラ歌手として世に知られている。

 映画はこの三人が集結した初舞台である1990年7月のイタリア、ワールドカップサッカー開催中にローマ・カラカラ浴場で催された、カレーラスの白血病からの復活コンサートから始まる。

 音楽ファンを取込み、オペラの認知度を高めていく過程や、お金に絡んだ舞台裏がシビアに描かれていて面白い。しかし、三人の歌声を堪能したい分には、歌のサビにはナレーションがかぶり、分断された構成なので、欲求不満となるかも知れない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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