岐阜新聞 映画部

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今の大阪を作ったのは、太閤はんだけじゃなかったのだ!

2021年02月04日

天外者

Ⓒ2020 「五代友厚」製作委員会

【出演】三浦春馬、三浦翔平、西川貴教、森永悠希、森川葵、筒井真理子、蓮佛美沙子、生瀬勝久、内田朝陽、迫田孝也、六角慎司、丸山智己、徳重聡、かたせ梨乃、田上晃吉、榎木孝明、八木優希、ロバート・アンダーソン
【監督】田中光敏

地位か名誉か金か、いや、大切なのは目的だ

 2021年のNHK大河ドラマは、新1万円札の顔・渋沢栄一の生涯を描く「青天を衝け」だ。日本資本主義の父と言われ、近代産業社会の礎を築いた大実業家である。

 一方各地方に目を向けると、その地域の発展に尽くした偉人たちがいる。名古屋では、木曽川での電力発電を進め、東邦ガスや名古屋鉄道・大同特殊鋼の設立に関わり「名古屋発展の父」と言われた福沢桃介。そして大阪では、『天外者』の主人公で「大阪経済の父」と言われた五代友厚である。

 私は福沢桃介についてはある程度知っていたが、五代友厚は名前を聞いた事がある程度で、この映画を見てほぼ初めて偉大なる足跡を知る事ができた。今の大阪を作ったのは、太閤はんだけじゃなかったのだ!

 歴史ものは登場人物の年齢がわかっていると関係性の手掛かりとなる。主要メンバーは、五代友厚(三浦春馬<1836-85>)、坂本龍馬(三浦翔平<1836-67>)、岩崎弥太郎(西川貴教<1835-85>)、伊藤博文(森永悠希<1841-1909>)の4人。5歳若い伊藤を除き、ほぼ同年齢だ。明治維新前後は、皆20代後半から30代前半。まさに若者が日本を動かしていたのだ。

 映画は、1857年五代が長崎海軍伝習所で勉学に励んでいるところから始まる。上海での蒸気船購入、薩英戦争での捕虜、イギリス留学など大河ドラマにもなり得るエピソードを快調に描きつつ、遊女はる(森川葵)との色恋を上手に絡ませ飽きさせない。

 マンチェスターの視察で、「日本を外国から守り対抗していくのは武器ではない。強靭な経済基盤だ」と見抜いた彼は、地盤沈下が激しかった大阪の商業の立て直しのため、新しい都市づくりに取り組む。

 五代は、大阪商人を前に「地位か名誉か金か、いや、大切なのは目的だ」と熱く訴える。

 乗り移ったかのような三浦春馬の熱演は、立派な偉人伝っぽい照れくささをも、パッと吹き飛ばしてくれた。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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