キャンディス・バーゲンが、貫禄あるおばちゃんに変貌していた

　本作の主演4人は全員私よりお姉さん。雑誌SCREENやROADSHOWの表紙を飾った大スターで、若き映画青年の胸をときめかせたエロスの女神たちだ。

　独身ホテル経営者ビビアン役のジェーン・フォンダ（83歳）は『ひとりぼっちの青春』。未亡人でアリゾナの娘の処へ行くかどうか迷っているダイアン役のダイアン・キートン(75歳）は『ゴッドファーザーPARTⅡ』。裁判官シャロン役のキャンディス・バーゲン（74歳）は『パリのめぐり逢い』。セックスレスで悩むキャロル役のメアリー・スティーンバージェン（67歳）は『冬の嵐.』。私が初遭遇したミューズたちの作品。みんな若かった。

　この映画を観ていたら、私の還暦の同窓会の思い出とリンクした。4人中3人はすぐにわかったのだが、あと1人どうしても思い出せない。「あの～、誰でしたっけ？」「なに言っとるだん、キャンディス・バーゲンだて、覚えとる？」。細くて可愛かったあの娘が、貫禄のあるおばちゃんに変貌！ソリャ、気がつかんわ。

　このお姉さん連中が集うブッククラブで、最年長のビビアンから示された新たなお題は、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」というベストセラーの官能小説。最初は嫌悪していたお仲間だったが、読み始めたら夢中になっちゃって、再び男性に関心を持つに至る。意気盛んな女子連って、恐ろしくも羨ましい。

　ビビアンは昔付き合っていた恋人と再開して愛を育み、ダイアンは飛行機で知り合ったパイロットと付き合う。シャロンは出会い系サイトで知り合った男性とデートし、キャロルは夫のビールにバイアグラを入れる。

　映画は、いくつになってもオシャレな服に身を包み、知的好奇心のある豊かな会話を楽しみながら、アドレナリン全開の素敵な恋をしている4人のレディースに、一番美しく見える角度の照明をあてている。

　この女子会に、ゲストで呼ばれてみたい。同窓会もまたやりたい。