岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ニューヨーク 親切なロシア料理店 B! 都会の片隅に集う人たちを見つめた群像劇の佳作 2021年01月07日 ニューヨーク 親切なロシア料理店 © 2019 CREATIVE ALLIANCE LIVS/RTR 2016 ONTARIO INC. All rights reserved 【出演】ゾーイ・カザン、アンドレア・ライズボロー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、タハール・ラヒム、ジェイ・バルチェル、ビル・ナイ ほか 【監督・脚本】ロネ・シェルフィグ ガイドブックにのらないロシア料理店でもきっと行きたくなる ニューヨーク・マンハッタンの片隅にある老舗のロシア料理店ウィンター・パレス。アンティークな装飾に彩られた店内だが、それも古びて侘しく見える。とても繁盛しているようには見えない。どこからともなく、料理の味を揶揄する声が聞こえる。 まばらな客のひと組にマーク(タハール・ラヒム)と友人の弁護士のジョン(ジェイ・バルチェル)が祝杯をあげている。静かな祝宴はマークの出所祝いだった。 常連客のアリスは近くの病院の看護師。忙しい救命の仕事に精神的には追い込まれていた。それから逃れるように、看護服のままコートを羽織って店に駆け込んで来る。 そんなアリスに接客する支配人のティモフェイ(ビル・ナイ)は、ロシア語訛りの上品な老紳士に見えるが、それはオーナーからの命令で移民を装っているのだった。 ジェフ(ケイブ・ランドリー・ジョーンズ)は、人一倍マイペースで、職場ではなかなか順応できない。職を転々とするうち、家賃の滞納により、アパートを追い出され、宿無しになってしまう。 深夜、クララ(ゾーイ・カザン)は、そっとベッドをぬけだすと、2人の息子を連れて家を飛び出し、車でニューヨークへ向かう。その様子からは切迫した訳ありうかがわれる。行き場もなく、彷徨った末に、親子がたどり着いたのは、ウィンター・パレスだった。 薬物やアルコール依存を抱えた人たち。ホームレス難民。DVに直面する人。それに積極的に関わり救いの手を差しのべる人。痛みを共有できる人。それぞれがそれぞれの苦難を抱えた登場人物たち。『ニューヨーク 親切なロシア料理店』は、そんな人たちが、不思議な運命の糸に結ばれて店に集い展開する、素敵な群像劇になっている。 監督のロネ・シェルフィグは、デンマーク出身の女性だが、ニューヨークを見つめる視線に、異邦人としての客観性が鋭く活かされている。華やかな街の喧騒の陰で、不器用に生きる市井の人たちを見つめる視線はどこまでも優しい。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2023年12月04日 / おしょりん メガネ作りを地域産業にした挑戦と情熱の物語 2023年12月04日 / おしょりん 増永兄弟の艱難辛苦のサクセスストーリー 2023年11月29日 / 私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰? 権力と闘う信念の女性の生き様で描く政治映画 more 2021年09月08日 / 【思い出の映画館】浅草東宝(東京都) 大晦日は浅草寺に詣でてオールナイトで年を越す 2020年10月14日 / シネマスコーレ(愛知県) 若松孝二監督が遺した学校という名の小さな映画館 2019年01月30日 / 御成座(秋田県) 街の人たちの勘違いから復活した秋田の映画館 more
ガイドブックにのらないロシア料理店でもきっと行きたくなる
ニューヨーク・マンハッタンの片隅にある老舗のロシア料理店ウィンター・パレス。アンティークな装飾に彩られた店内だが、それも古びて侘しく見える。とても繁盛しているようには見えない。どこからともなく、料理の味を揶揄する声が聞こえる。
まばらな客のひと組にマーク(タハール・ラヒム)と友人の弁護士のジョン(ジェイ・バルチェル)が祝杯をあげている。静かな祝宴はマークの出所祝いだった。
常連客のアリスは近くの病院の看護師。忙しい救命の仕事に精神的には追い込まれていた。それから逃れるように、看護服のままコートを羽織って店に駆け込んで来る。
そんなアリスに接客する支配人のティモフェイ(ビル・ナイ)は、ロシア語訛りの上品な老紳士に見えるが、それはオーナーからの命令で移民を装っているのだった。
ジェフ(ケイブ・ランドリー・ジョーンズ)は、人一倍マイペースで、職場ではなかなか順応できない。職を転々とするうち、家賃の滞納により、アパートを追い出され、宿無しになってしまう。
深夜、クララ(ゾーイ・カザン)は、そっとベッドをぬけだすと、2人の息子を連れて家を飛び出し、車でニューヨークへ向かう。その様子からは切迫した訳ありうかがわれる。行き場もなく、彷徨った末に、親子がたどり着いたのは、ウィンター・パレスだった。
薬物やアルコール依存を抱えた人たち。ホームレス難民。DVに直面する人。それに積極的に関わり救いの手を差しのべる人。痛みを共有できる人。それぞれがそれぞれの苦難を抱えた登場人物たち。『ニューヨーク 親切なロシア料理店』は、そんな人たちが、不思議な運命の糸に結ばれて店に集い展開する、素敵な群像劇になっている。
監督のロネ・シェルフィグは、デンマーク出身の女性だが、ニューヨークを見つめる視線に、異邦人としての客観性が鋭く活かされている。華やかな街の喧騒の陰で、不器用に生きる市井の人たちを見つめる視線はどこまでも優しい。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。