岐阜新聞 映画部

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生きるのが不器用なワケありの人たちの群像ドラマ

2021年01月07日

ニューヨーク 親切なロシア料理店

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【出演】ゾーイ・カザン、アンドレア・ライズボロー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、タハール・ラヒム、ジェイ・バルチェル、ビル・ナイ ほか
【監督・脚本】ロネ・シェルフィグ

料理はまずいしオーナーは無愛想だが、親切だけは三ツ星料理店

 世界三大料理と言えば「フランス・中華・トルコ料理」が定説だが、世界三大まずい料理が「イギリス・アメリカ・ロシア料理」だという人は多い。私は食通ではないが、ロシア料理と言えば、ボルシチとピロシキそしてキャビアが思い浮かぶ。

 マンハッタンの老舗ロシア料理店<ウィンター・パレス>で唯一うまいものはキャビア料理。理由は簡単、缶詰から出してクッキーかパンに乗せるだけ。

 そんな内装だけが豪華で古びたレストランに、生きるのが不器用なワケありの人々が集ってくる。映画は群像ドラマとなっているが中心は女性2人。

 警官の夫のDVに耐えかね幼い息子2人と命からがら逃げてきたクララ(ゾーイ・カザン)。殺人的激務の救急病棟の看護師をこなしながら教会で<赦しの会.>を主催する他人第一のアリス(アンドレア・ライズボロー)。

 2人とも、ちょっとやそっとではへこたれない逞しく生きている女性である。描き方が若干ステレオタイプではあるが、とやかく言うほどではない。

 2人と関わる主要男性陣は、無愛想だが親切なロシア料理店オーナー・ティモフェイ(ビル・ナイ)、アリスを手伝う事になった不器用だけど健気で一生懸命な青年ジェフ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)、ティモフェイに雇われた刑務所帰りのマーク(タハール・ラヒム)、その知り合いで犯罪者の弁護に悩む弁護士ジョン・ピーター(ジェイ・バルチェル)。

 ストーリーがいささか予定調和的なところもあるが、複数の人物の描きわけはわかりやすく、こんがらがる事はない。それぞれの登場人物が段々つながっていく展開は、上手に練られており上滑り感はない。

 映画の内容はソコソコだったが、描かれているシーンは大変興味深い。公共図書館が緊急避難的場所になっている点。そして救急病院での献身的救護活動。逼迫しているコロナ病床と、それに関わる医療従事者を思い浮かべた。感謝するほかない。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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