岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

市民ケーンの誕生の舞台裏

2020年12月29日

Mank/マンク

Netflix映画『Mank/マンク』独占配信中

【出演】ゲイリー・オールドマン、アマンダ・セイフライド、チャールズ・ダンス、リリー・コリンズ、アーリス・ハワード、トム・ペルフリー、サム・トラウトン、フェルディナンド・キングズレー、タペンス・ミドルトン、トム・バーク、ジョセフ・クロス、ジェイミー・マクシェーン、トビー・レナード・ムーア、モニカ・ゴスマン
【監督】デビッド・フィンチャー

映画史に残る傑作の脚本を書いたのは誰か

 「市民ケーン」(1941年)の誕生の舞台裏を描いたノンフィクション、「スキャンダルの祝祭」はポーリーン・ケールが1971年に執筆(邦訳は1987年)した。その中で彼女は脚本を書いたのはハーマン・マンキーウィッツ単独と断じており、それが後に論争を呼んだ。この映画ではその論に沿ったもので、脚本は監督の父親ジャック・フィンチャー。市民ケーンは1942年のアカデミー賞脚本賞を受賞したが、授与されたのは同映画のクレジットどおり、監督のオーソン・ウェルズとマンキーウィッツの二人だった。

 監督のデビッド・フィンチャーはモノクロームの画面に「市民ケーン」を再現したかのような深度の深い画面設計、時間軸を何度も遡る編集など、映画史上に残る傑作の誕生秘話を明かしていく。大酒のみのマンキーウィッツ(あだ名がマンク)がハリウッドの名だたる大物のパーティを台無しにするエピソードなど、前述のケールのノンフィクションに書かれた通り。

 ウェルズが設立した演劇グループ、マーキュリー劇団の重鎮ジョン・ハウスマンやハーマンの弟で後に大監督となるジョゼフ・マンキーウィッツらの若き日々が垣間見えるのも興味を呼ぶ。映画化は監督フィンチャーの長年の悲願でもあったようで、ウェルズと並ぶ破天荒な人物造形の再現に成功している。

語り手:シネマトグラフ

外資系資産運用会社に勤務。古今東西の新旧名画を追いかけている。トリュフォー、リヴェット、ロメールなどのフランス映画が好み。日本映画では溝口と成瀬。タイムスリップして彼らの消失したフィルムを全て見たい。

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語り手:シネマトグラフ

外資系資産運用会社に勤務。古今東西の新旧名画を追いかけている。トリュフォー、リヴェット、ロメールなどのフランス映画が好み。日本映画では溝口と成瀬。タイムスリップして彼らの消失したフィルムを全て見たい。

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