岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

癖になるほどの面白さと長く尾を引く魅力

2020年11月06日

本気のしるし 劇場版

©星里もちる・小学館/メ~テレ

【出演】森崎ウィン、土村芳、宇野祥平、石橋けい、福永朱梨、忍成修吾、北村有起哉
【監督】深田晃司

深田監督の最高傑作と言っても過言ではない

 『本気のしるし 劇場版』は、名古屋テレビの深夜の30分枠で10話放送された連続ドラマを劇場用に再編集したものだが、カンヌ映画祭で評価されたのも頷けるほど映画的な魅惑に満ち溢れている。

 深田晃司監督はテレビドラマを撮った経験がないため、いつもの映画と変わらない撮り方をしたとの事。そのおかげで、『淵に立つ』や『よこがお』に匹敵する傑作が誕生した。癖になるほどの圧倒的な面白さと長く尾を引く魅力という意味では、これまでの最高傑作と言っても過言ではない。

 同性異性を問わず好感を持たれる、ちょっと醒めたところのある主人公(森崎ウィン)が、謎の女(土村芳)と出会い、彼女の言動に振り回されながらも、彼女を救うため自ら地獄に足を踏み入れ、人生を狂わされ何もかもを失ってしまうというストーリーが、怒涛の展開で描かれる232分(途中インターミッション有り)、観客は画面に釘付けになること必至。

 森崎ウィンも好演だが、ヒロインを演じる土村芳の打算のない不幸キャラが見事に嵌っていて、ストーリーにこの上ない説得力をもたらしている。脇では、北村有起哉と石橋けいの存在感が光る。いつもながら、深田監督の俳優の資質を見抜く眼力には脱帽である。

 原作は星里もちるのコミック。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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