岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品はりぼて B! 虚飾を剥ぎ取る格闘のドキュメンタリー 2020年10月19日 はりぼて ©チューリップテレビ 【声の出演】佐久田脩 【監督】五百旗頭幸男、砂沢智史 安っぽく下手くそな政治家の笑劇を見た後に感じる無力感は何なのか? 2016年8月、開局からまだ日も浅い、新参のローカル局"チューリップテレビ"のニュース番組が「自民党会派の富山市議 政務活動費事実と異なる報告」というスクープを報道した。名指しされた市議は富山市議会のドンと言われた自民党の重鎮だった。 『はりぼて』はこのニュースに端を発した、富山市議会の混乱の顛末を見つめたドキュメンタリーである。 はじめ、市議のドンは太々しいほどに自信満々の強気だか、化けの皮が剥がされたあとは、何とも惨めな顛末となる。 議員の政務活動費にまつわる不正の数々は、何もこの富山市議に限ったことではない。 身内を秘書にして、税金で賄われる給料を搾取したり、行ってもいない出張の旅費を計上したり、自分の所有する建物を事務所にして家賃を払ったふりをする。その手口は姑息で酷く情けない。 ここで素朴な疑問に突き当たる。何故、高給取りの議員に、もう一つの財布となる政務活動費などという緩んだ"らっきょう玉"のがま口を与える必要があるのか? 民間の会社に置き換えれば分かりやすい。経費に対してシビアなのは常識であり、使い方使われ方は厳格化されている。政治家に対するそれはチェックが甘く、映画にも登場する偽造や改竄は横行している。政治家にモラルはないのか? 監督の五百旗頭幸男はチューリップテレビの夕方のニュース番組のキャスターを務めていた。もうひとりの砂沢智史も同局の報道記者である。 映画は2016年に放送された番組「はりぼて-腐敗議員と記者たちの攻防-」の続編となっている。 少し違和感を感じるのは、映画の終盤に監督の五百旗頭がテレビ局を退社することになり、涙ながらにスピーチするシーンが唐突に現れることで、その説明がないため、憶測が澱となって何とも消化不良の幕切れとなる。 政治への失望感に報道の無力感が重なってしまう現象は、些か気味が悪い。故に、茶番劇を単なる笑劇に終わらせないための継続の必要を感じる。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (11)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2023年12月04日 / おしょりん メガネ作りを地域産業にした挑戦と情熱の物語 2023年12月04日 / おしょりん 増永兄弟の艱難辛苦のサクセスストーリー 2023年11月29日 / 私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰? 権力と闘う信念の女性の生き様で描く政治映画 more 2022年11月23日 / シネマ・ロサ(東京都) 池袋の歓楽街にある映画館で街ごと映画を楽しむ。 2021年12月22日 / 【思い出の映画館】千日前国際シネマ(大阪府) 戦後、難波の映画街で多くの日本映画を送りつづけた 2023年10月11日 / シネマハウス大塚(東京都) かつての映画青年たちが集まって立ち上げた映画館 more
安っぽく下手くそな政治家の笑劇を見た後に感じる無力感は何なのか?
2016年8月、開局からまだ日も浅い、新参のローカル局"チューリップテレビ"のニュース番組が「自民党会派の富山市議 政務活動費事実と異なる報告」というスクープを報道した。名指しされた市議は富山市議会のドンと言われた自民党の重鎮だった。
『はりぼて』はこのニュースに端を発した、富山市議会の混乱の顛末を見つめたドキュメンタリーである。
はじめ、市議のドンは太々しいほどに自信満々の強気だか、化けの皮が剥がされたあとは、何とも惨めな顛末となる。
議員の政務活動費にまつわる不正の数々は、何もこの富山市議に限ったことではない。
身内を秘書にして、税金で賄われる給料を搾取したり、行ってもいない出張の旅費を計上したり、自分の所有する建物を事務所にして家賃を払ったふりをする。その手口は姑息で酷く情けない。
ここで素朴な疑問に突き当たる。何故、高給取りの議員に、もう一つの財布となる政務活動費などという緩んだ"らっきょう玉"のがま口を与える必要があるのか?
民間の会社に置き換えれば分かりやすい。経費に対してシビアなのは常識であり、使い方使われ方は厳格化されている。政治家に対するそれはチェックが甘く、映画にも登場する偽造や改竄は横行している。政治家にモラルはないのか?
監督の五百旗頭幸男はチューリップテレビの夕方のニュース番組のキャスターを務めていた。もうひとりの砂沢智史も同局の報道記者である。
映画は2016年に放送された番組「はりぼて-腐敗議員と記者たちの攻防-」の続編となっている。
少し違和感を感じるのは、映画の終盤に監督の五百旗頭がテレビ局を退社することになり、涙ながらにスピーチするシーンが唐突に現れることで、その説明がないため、憶測が澱となって何とも消化不良の幕切れとなる。
政治への失望感に報道の無力感が重なってしまう現象は、些か気味が悪い。故に、茶番劇を単なる笑劇に終わらせないための継続の必要を感じる。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。