岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品はちどり B! 1994年韓国 14歳の少女の日常 2020年10月05日 はちどり ©2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved. 【出演】パク・ジフ、キム・セビョク、イ・スンヨン、チョン・インギ 【監督・脚本】キム・ボラ 文化的な差異はあっても共通点で繋がる青春映画 韓国・ソウル。14歳のウニ(パク・ジフ)は、集合住宅で家族と暮らしている。学校生活では無気力に陥りがちだが、女友達やボーイフレンドと遊ぶ時は、その反動で羽目を外してしまう。韓国の教育制度は、日本と同じ、6・3・3制だから、ウニは中学生ということになる。 時は1994年。両親は市場で小さな"餅屋"を経営しているが、生活は裕福とは言いがたい。ウニには姉のスヒと兄のデフンがいるが、両親は兄のソウル大学への進学のことで頭がいっぱいで、姉妹のことは眼中にない。一方で、躾は厳しく、親子と言えども緊張感のある関係性が見える。日本では核家族化が流行語になったのは60年代のことで、家族の分断は社会問題となった。韓国では家族の絆を重要視する。ウニの家族も食事はいつも一緒にするし、親に対する挨拶礼儀も厳格であることが分かる。とは言え、姉は門限破りの常連で、ウニはその手助けする。兄は突然凶暴になり、ウニに暴力を振るう。これをプレッシャーのはけ口と想像できはしても、その事実を両親にも直訴できない家族のバランスは歪に見える。 気を許せる親友のジスクに家族の悩みを相談してみたものの「うちもそうだよ」と軽くあしらわれてしまう。 ある日、ウニが通う"漢文塾"に、新しい女性教師のヨンジ(キム・セビョク)が赴任して来る。 韓国は朝鮮語の文字=ハングルを重要視し、中国から伝わった漢字語圏にありながら、漢字廃止に政策の舵を切った。現在、漢字は使用されているが、その数は制限されている。韓国には独自の漢文があって、それを塾で学ぶという志向が、1994年にはあったということになる。しかし、塾は繁盛していない。 友の裏切り、恋人との別れ、病い、心の支えとなってくれていたヨンジ先生の突然の離職。いくつかのエピソードは小波のようにウニを襲う。しかし、物語は淡々とあくまでも静かに進行する。 そして、10月21日の朝、ソウルと郊外を結ぶ聖水大橋で崩落事故が起こる。それは分断の象徴か? キム・ボラ監督、恐るべき長編デビュー作! 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2022年12月28日 / シネマエポック(鳥取県) 白壁土蔵の城下町にある街なか映画館。 2023年05月31日 / 【思い出の映画館】七ぶらシネマ通り(静岡県) 静岡市内にあった明治時代から続く映画館通り。 2018年10月03日 / シネモンド(石川県) 加賀百万石の城下町から次世代の映像作家を more
文化的な差異はあっても共通点で繋がる青春映画
韓国・ソウル。14歳のウニ(パク・ジフ)は、集合住宅で家族と暮らしている。学校生活では無気力に陥りがちだが、女友達やボーイフレンドと遊ぶ時は、その反動で羽目を外してしまう。韓国の教育制度は、日本と同じ、6・3・3制だから、ウニは中学生ということになる。
時は1994年。両親は市場で小さな"餅屋"を経営しているが、生活は裕福とは言いがたい。ウニには姉のスヒと兄のデフンがいるが、両親は兄のソウル大学への進学のことで頭がいっぱいで、姉妹のことは眼中にない。一方で、躾は厳しく、親子と言えども緊張感のある関係性が見える。日本では核家族化が流行語になったのは60年代のことで、家族の分断は社会問題となった。韓国では家族の絆を重要視する。ウニの家族も食事はいつも一緒にするし、親に対する挨拶礼儀も厳格であることが分かる。とは言え、姉は門限破りの常連で、ウニはその手助けする。兄は突然凶暴になり、ウニに暴力を振るう。これをプレッシャーのはけ口と想像できはしても、その事実を両親にも直訴できない家族のバランスは歪に見える。
気を許せる親友のジスクに家族の悩みを相談してみたものの「うちもそうだよ」と軽くあしらわれてしまう。
ある日、ウニが通う"漢文塾"に、新しい女性教師のヨンジ(キム・セビョク)が赴任して来る。
韓国は朝鮮語の文字=ハングルを重要視し、中国から伝わった漢字語圏にありながら、漢字廃止に政策の舵を切った。現在、漢字は使用されているが、その数は制限されている。韓国には独自の漢文があって、それを塾で学ぶという志向が、1994年にはあったということになる。しかし、塾は繁盛していない。
友の裏切り、恋人との別れ、病い、心の支えとなってくれていたヨンジ先生の突然の離職。いくつかのエピソードは小波のようにウニを襲う。しかし、物語は淡々とあくまでも静かに進行する。
そして、10月21日の朝、ソウルと郊外を結ぶ聖水大橋で崩落事故が起こる。それは分断の象徴か?
キム・ボラ監督、恐るべき長編デビュー作!
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。