岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

人気子役の光と影

2020年10月04日

ハニーボーイ

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【出演】ノア・ジュプ、シャイア・ラブーフ、ルーカス・ヘッジズ、FKAツイッグス
【監督】アルマ・ハレル

痛みと悲しみは繰り返されるのか?その先に見える希望の光

 20代の俳優オーティスは、酩酊状態で車を運転中、事故を起こしてしまう。怪我の治療中、カウンセラーから"PTSD"の症状が見られるが、何か心当たりはあるか?と告げられる。

 ハリウッドで人気子役として活躍する12歳のオーティス(ノア・ジュプ)の側には、いつも父親のジェームズ(シャイア・ラブーフ)がいた。子役には"ステージパパ(多くはママ)"がつきもので、人気の影には親の存在が色濃く存在することがある。しかし、ジェームズは少し違う。感情をコントロールできない時や、発作的に暴発して暴力的になることがあり、まわりからも警戒されている。また、彼には前科があり、定職に就けず息子に寄生している立場だった。

 そんな親子を気にかけてくれるのは、保護観察員や共演する俳優だったりする。いちばんの安らぎとなるのは隣人の少女だったが、オースティンが自分以外の人と接して、優しくしてもらうことをジェームズは極度に嫌った。父としての偏愛は、自らの不甲斐なさとまみれることで、憤懣は暴力となって噴出した。

 ジェームズを演じ、脚本を書いたシャイア・ラブーフは、カリフォルニア州ロサンゼルスで、フランス人の父親とユダヤ人の母親の間に生まれた。両親はヒッピーで、幼い頃に離婚している。芸能生活のキャリアは、スタンダップコメディアンとして地元のコーヒーショップに立ったことにはじまる。その後、ディズニー・チャンネルのオーディションに合格し、ドラマの主役の大役を得た。この作品のオーティスが置かれている状況が、この経歴と一致する。一時、奇行で騒がれた時期があったが、本作の脚本執筆のきっかけは、アルコール依存症のリハビリプログラムの一貫だったという。自らの父親の幻影を力演し、イメージチェンジの一役となった。

 オーティス役のノア・ジュプは、深い愛情と暴力の狭間で、自らの義務を健気に果たそうとする繊細な役柄を見事に演じ、映画を支えている。

 夕焼け、朝焼けに滲む映像が、切ない父子の感情を映し出し印象深い。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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