岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

映画が好きで好きでたまらない人たちの熱い心が伝わってくる

2020年09月20日

8日で死んだ怪獣の12日間の物語 劇場版

©日本映画専門チャンネル/ロックウェルアイズ

【出演】斎藤工、のん、武井壮、穂志もえか、樋口真嗣
【監督・脚本】岩井俊二

いまの東京を写し取ったシュールな映像で、岩井ワールドの雰囲気を醸し出していく

 日本の映画興行は、1903年10月1日に浅草で常設活動専門館(電気館)が開場して以来、終戦直後の1週間を除けば、途切れることなく脈々と続いてきた。それが新型コロナウイルス感染症の爆発的流行という近代社会では誰も経験したことがない未曽有の出来事により、4月中旬から約1か月、全国の映画館が一斉休業するという史上初めての事態となった。

 映画製作もストップしたが、稀代の映像作家でCINEX映画塾にも来ていただいた岩井俊二監督が「コロナ禍における映画のつくり方」を模索し、ほぼ全編リモート撮影という前代未聞の離れ技で、素敵な小品をこしらえた。

 5月20日から12日連続で配信したYouTube版はカラーだったが、劇場版は白黒のモノクローム。当初パソコンのモニターで見た時は、Webカメラによる生撮影の臨場感や、うちの事務所でもオンライン支援で普段使っているZoom画面の生々しさが、どんな状態でも映画を作るのだという熱量と空気感を感じた。

 そこから、プロはどうやって劇場版にしていくか。まずはカラー映像をモノクロにして色調を統一。そして、新たに人出の少ない繁華街を空撮したシーンを追加。2020年のいまの東京を写し取ったシュールな映像で、岩井ワールドの雰囲気を醸し出していく。

 固定撮影で顔はアップという制約にも関わらず、普段着で出てくる出演者はみんな気負わず自然体。岩井映画らしい、いつもの瑞々しさそのままだ。

 そして何より、5人の出演者の表情と言葉が素晴らしい。斎藤工には艶があるし、のんちゃんは超キュート。武井壮の気さくさ、樋口監督の人の好さ、穂志もえかの可愛らしさ。人柄がにじみ出るような飾らない優しさで、見ていて気持ちいい。

 どんな困難な状況でも決してめげず、創意工夫で乗り越えていく。映画が好きで好きでたまらない人たちの熱い心が伝わってくる、私の愛してやまない映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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