岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品剣の舞 我が心の旋律 B! 伝説の名曲の誕生秘話 2020年08月25日 剣の舞 我が心の旋律 © 2018 Mars Media Entertainment, LLC, DMH STUDIO LLC 【出演】アンバルツム・カバニアン、ヴェロニカ・クズネツォーヴァ、アレクサンドル・クズネツォフ、アレクサンドル・イリン、イヴァン・リジコフ、インナ・ステパーノヴァ、セルゲイ・ユシュケーヴィチ 【監督・脚本】ユスプ・ラジコフ 芸術家として、民族として、人間としての誇り 雪の朝。建物の入口に立つ制服姿の男。やって来た男と日常と思しき会話を交わす。制服の男がホテルのポーターで、もうひとりは常連客。届いた差入れについてのやり取りから、謎の女性からの贈り物が繰り返されていることが分かる。 部屋のベッドに男が横たわっている。そこには別の人影がある。ふと甦るのは、子どもの頃の記憶か?現実と交錯するように何やら会話を交わすが、それは成立しないまま、謎の人影は消えて、男が持ち込んで床に溜まった雪も消える。ベッドに横たわった男は疲れていた。 アラム・ハチャトゥリアンは1903年、当時ロシア帝国の支配下にあったグルジア(現・ジョージア)のトビリシの製本工であったアルメニア人の家庭に生まれた。音楽専門学校でチェロを学んだ後、モスクワの音楽院で本格的に作曲家を目指した。 『剣の舞 我が心の旋律』は、ハチャトゥリアンが代表曲「剣の舞」を書き上げるまでの2週間に焦点をあてた映画である。 舞台は第二次大戦下のソ連。迫り来る戦火から逃れるため、レニングラード国立オペラ・バレエ劇団は、モロトフ(現・ペルミ)に疎開していた。物資不足による生活の困窮は、バレエ「ガイーヌ」の初演を目前に控えた劇団員たちにも異様な緊張感をあたえていた。 専属作曲家のハチャトゥリアン(アンバルツム・カバニアン)は、振付家からの度重なる変更修正に苛立っていた。宿舎のホテルから怒りにまかせて稽古場に駆け込んだハチャトゥリアンだったが、要請には応えるしかない。しかし、帰途の路上で昏倒し、そのまま入院することになってしまう。 初演まで1週間に迫ったある日、文化省の役人プシュコフ(アレクサンドル・クズネツォフ)が劇団を訪れ、完成版の「ガイーヌ」の結末の変更を強権的に命令してくる。 芸術家の”生みの苦難”という縦軸に、劇団内の人間関係のあやを絡め、政治権力の横暴を告発する構成は、急ぎ過ぎの結末を見れば過分な気もするが、名曲鑑賞のための新たな指針とはなり得る。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (9)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2021年07月15日 / 【思い出の映画館】姫路大劇シネマ(兵庫県) キングコングがビルを登りUFOが襲来する壁面が名物 2020年09月16日 / 深谷シネマ(埼玉県) 元禄7年に創業された酒蔵が映画館として甦る 2018年10月17日 / シネ・ヌーヴォ(大阪府) 薔薇をモチーフとした外観が目印の映画館 more
芸術家として、民族として、人間としての誇り
雪の朝。建物の入口に立つ制服姿の男。やって来た男と日常と思しき会話を交わす。制服の男がホテルのポーターで、もうひとりは常連客。届いた差入れについてのやり取りから、謎の女性からの贈り物が繰り返されていることが分かる。
部屋のベッドに男が横たわっている。そこには別の人影がある。ふと甦るのは、子どもの頃の記憶か?現実と交錯するように何やら会話を交わすが、それは成立しないまま、謎の人影は消えて、男が持ち込んで床に溜まった雪も消える。ベッドに横たわった男は疲れていた。
アラム・ハチャトゥリアンは1903年、当時ロシア帝国の支配下にあったグルジア(現・ジョージア)のトビリシの製本工であったアルメニア人の家庭に生まれた。音楽専門学校でチェロを学んだ後、モスクワの音楽院で本格的に作曲家を目指した。
『剣の舞 我が心の旋律』は、ハチャトゥリアンが代表曲「剣の舞」を書き上げるまでの2週間に焦点をあてた映画である。
舞台は第二次大戦下のソ連。迫り来る戦火から逃れるため、レニングラード国立オペラ・バレエ劇団は、モロトフ(現・ペルミ)に疎開していた。物資不足による生活の困窮は、バレエ「ガイーヌ」の初演を目前に控えた劇団員たちにも異様な緊張感をあたえていた。
専属作曲家のハチャトゥリアン(アンバルツム・カバニアン)は、振付家からの度重なる変更修正に苛立っていた。宿舎のホテルから怒りにまかせて稽古場に駆け込んだハチャトゥリアンだったが、要請には応えるしかない。しかし、帰途の路上で昏倒し、そのまま入院することになってしまう。
初演まで1週間に迫ったある日、文化省の役人プシュコフ(アレクサンドル・クズネツォフ)が劇団を訪れ、完成版の「ガイーヌ」の結末の変更を強権的に命令してくる。
芸術家の”生みの苦難”という縦軸に、劇団内の人間関係のあやを絡め、政治権力の横暴を告発する構成は、急ぎ過ぎの結末を見れば過分な気もするが、名曲鑑賞のための新たな指針とはなり得る。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。