岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

「ルパン三世」化しつつある人気シリーズ

2020年08月30日

コンフィデンスマンJP プリンセス編

©2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会

【出演】長澤まさみ、東出昌大、小手伸也、小日向文世、織田梨沙、関水渚、瀧川英次、前田敦子、ビビアン・スー、白濱亜嵐、古川雄大、滝藤賢一、濱田岳、濱田マリ、デヴィ・スカルノ、石黒賢、生瀬勝久、柴田恭平、北大路欣也、竹内結子、三浦春馬、広末涼子、江口洋介
【監督】田中亮
【脚本】古沢良太

人気脚本家・古沢良太の本領発揮と言えるほどに見事

 向田邦子賞受賞の「ゴンゾウ 伝説の刑事」、「リーガル・ハイ」、「デート~恋とはどんなものかしら~」等、人気脚本家・古沢良太のテレビドラマは皆面白い。一方の映画は、オリジナル脚本に限って言えば、傑作『キサラギ』以外は『エイプリルフールズ』、『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』、『ミックス。』と皆物足りない作品ばかりだった。しかし、テレビドラマの映画版「コンフィデンスマンJP」は、前作のロマンス編も今回のプリンセス編もテレビ同様に面白い。欲を言えば、テレビ以上に面白くあってほしいところだが…。

 今回のプリンセス編の、たくさんの登場人物のエピソードが織りなす話を、散りばめた数多くの伏線をすべて回収するかたちでつないでみせる手際は、本領発揮と言えるほどに見事である。

 だけど、観終わって一番に感じたのは「コンフィデンスマンJP」の「ルパン三世」化である。大富豪の遺産を狙う一攫千金の大作戦が、途中からお金は二の次になり、人情ドラマに転調しシンデレラ・ストーリーに変わっていく展開などまさにそれで、詐欺師と泥棒の違いはあれど『ルパン三世 カリオストロの城』などと同工異曲。江口洋介演じる赤星栄介の役どころなど、当初は『スティング』のロバート・ショウのようなコケにされるギャングのボスだったのに、回を重ねるごとに銭形警部にどんどん近づいている。

 『mother マザー』で実の息子に殺人までさせる鬼母を演じた長澤まさみが、ここでは親のない不幸な娘を幸せにする偽の母役を演じているのが面白い。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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