岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

唯一無二の美術館の歴史、コレクションの紹介、未来への展望を見据えたドキュメンタリー

2020年08月28日

プラド美術館 驚異のコレクション

© 2019 – 3D Produzioni and Nexo Digital – All rights reserved

【ナビゲーター】ジェレミー・アイアンズ
【監督・脚本】ヴァレリア・パリシ

豊潤で贅沢なアート空間に誘ってくれる

 プラド美術館はスペインの首都マドリードにある。現在メインとなっている建物ビリャヌエバ館は、もとは1785年、カルロス3世の時に博物館として利用するため設計された。しかし、博物館として使われることはなく、カルロス3世の孫にあたるフェルナンド7世が妻マリア・イザベルの進言を受け、美術館となった。コレクションの数々は王室が所有したもので、その基礎はフェリペ2世、フェリペ4世が築き、1819年、王立美術館として正式に開館した。プラド美術館と名称が改まったのは1868年の革命の後で、現在は文化省所管の”国立美術館”である。ベラスケス、ゴヤといったスペイン絵画から、イタリア、フランドルなどの外国作品も多数ある。フランドルは現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域のことで、そこが、16〜17世紀にかけてスペインの領土であった名残りである。収蔵品は油彩画、彫刻、版画、素描など8000点、資料を含めれば2万点以上で、その内1300点ほどが展示されている。

 『プラド美術館 驚異のコレクション』は唯一無二の美術館の歴史、コレクションの紹介、未来への展望を見据えたドキュメンタリーである。案内人として登場するのは、ジェレミー・アイアンズ。イギリス出身の名優は映画に格調を添える。

 時の権力者たちによって選ばれた名画名品の数々。それを美術館内外のキュレーターたちが解析する。空間としての建物は時に進化を遂げる。計算され絶妙に配置展示される絵画には、経年の傷みが発生する。修復士たちは絵画の表面の汚れを取り、発生したクラックや剥落に優しく筆を入れる。

 また、視点は絵画の創造者に向けられる。その時、アーティストたちは何を考え作品と対峙したか?

 ルーベンス、ティツイアーノ、ボス、エル・グレコ…そのメッセージは後のピカソやダリに受け継がれていった。

 映画は豊潤で贅沢なアート空間に誘ってくれる。あまりの情報量の多さに目眩しを受けるかもしれないので、ご用心!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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