岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

ウディ・アレン印のロマンチックコメディ

2020年08月14日

レイニーデイ・イン・ニューヨーク

Photography by Jessica Miglio ©2019 Gravier Productions, Inc.

【出演】ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウ、ディエゴ・ルナ、リーヴ・シュレイバー
【監督・脚本】ウディ・アレン

ホットな恋も雨に冷める

 生粋のニューヨーカーであるギャツビー(ティモシー・シャラメ)は、わざわざ距離の離れた大学で学んでいることからも、その性格は想像に安い。最近、良い仲になったアリゾナ出身のアシュレー(エル・ファニング)は、ジャーナリスト志望。大学の課題でニューヨークにいる映画監督にインタビューすることになる。ニューヨークに特別な思いがある彼女のため、ギャツビーは壁を取っ払い、とっておきの週末旅行を計画する。

 ウディ・アレン映画にはニューヨークが似合う。このイメージは70年代の後半に発表した3作、『アニー・ホール』(77年/日本公開78年)、『インテリア』(78年/日本公開79年)、『マンハッタン』(79年/日本公開80年)に因るところが大きい。アカデミー賞の受賞式を欠席して、ニューヨークのホテルのライブハウスでクラリネットを吹いていたとか…いくつかのエピソードも彼がニューヨーカーの典型であり、街をこよなく愛している事をうかがわせる。勿論、映画の舞台に選ぶのはニューヨークに限ったものではない。ハリウッドも登場するし、最近では少し込み入った事情が絡むが、ロンドン、パリ、バルセロナと海外にまで彷徨っている。前作『女と男の観覧車』はニューヨークのコニーアイランドを舞台にしていた。時は50年代、どこかノスタルジックでもある夏のニューヨークは、これまでとはひと味違って見えた。

 ニューヨークに着いたギャツビーとアシュレーは、取り敢えずは別行動で、後で合流する手筈を整える。これが大きな落とし穴で、その後のふたりはニアミスを繰り返すことになる。

 ウディ・アレンの映画では、彼自身が演じるキャラクターを代表的に、外見はさえない男が多い。これは内面を写す鏡となるわけだから、コンプレックスの強調には必須だった。ギャツビーを演じるのが今をときめく美系のティモシー・シャラメであることは異例だが、闇は抱えている。

 セントラルパーク、メトロポリタン美術館、プラザ、カーライルといった一流ホテル…観光案内のトップページを飾るような名所が次々と登場するのも珍しい。その照れ隠しに雨を降らせているのかな?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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