岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

人も自然も共生し、みんな連関している…夢と希望にあふれた映画

2020年06月20日

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

©2018 FarmLore Films ,LLC

【出演】ジョン・チェスター、モリー・チェスター
【脚本・製作・監督】ジョン・チェスター

協力者があってこそのアメリカン・ドリーム

 「世界の食糧庫」と言われるアメリカの農業は、土地に適した単一作物(大豆、とうもろこし、小麦等)を大規模に耕作し、穀物メジャーを通して世界に輸出している。農薬や化学肥料を使用し、遺伝子組み換えで生産性をあげる農法で、効率的な経営だ。

 そのアメリカでも、食物の安全性の情報や健康志向の高まりから、オーガニック商品の売上高が全食品中5.3%と着実に増えてきている(2016年調べ)。

 本作は、本当に体にいい食べ物を育てるためロサンゼルス郊外の広大な農地に移り住んだジョンとモリーの夫婦が、荒れた土地を開墾し緑豊かな農地に変えていった8年間を、ジョン自らが撮影し監督した自然共生ドキュメンタリーである。

 まず、彼らはバイオダイナミック農法(有機自然農法)の先駆者アラン・ヨークによる「土が完全に死んでいる。土を生き返らせよう」という助言から、土壌改良に取り組む。環境再生型農業の第一歩だ。

 最初の数年は困難の連続。害虫、山火事、干ばつなど自然の掟は厳しいが、その自然に注意深く目を向け観察することで、次第に共生できるようになる。

 一方、農業経済は商品(作物)を作るのに手間ひまがかかり、すぐには金が入ってこないという特徴がある。元手がいるわけだが、ジョンとモリーの農法に賛同し投資してくれる人が何人もいた。実現可能で夢のあるビジネスプランと信頼できるチャレンジャーには資金援助を惜しまない、まさに協力者があってこそのアメリカン・ドリームなのだ。

 緑がどんどん増えていき、色とりどりの花や作物が実を結ぶ。動物たちは生き生きと活動し、昆虫は動き回り鳥は大空を飛び回る。8年間の営みは農場に色と生を与えてくれた。まるでエデンの園だ。

 そしてこの映画は、人類の多様性を認め「共に生きる」ことの大切さを我々に気づかせてくれる。人も自然も共生し、みんな連関しているのだと。夢と希望にあふれた映画だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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