間違いなく面白い本格ミステリー
2020年05月25日
ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密
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【出演】ダニエル・クレイグ、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノン、ドン・ジョンソン、トニ・コレット、キース・スタンフィールド、キャサリン・ラングフォード、ジェイデン・マーテル、クリストファー・プラマー
【監督・脚本・製作】ライアン・ジョンソン
安っぽくないのは、物語の構成力が大変優れているから
1911年制作の名探偵ポーリンと神出鬼没の悪漢ジゴマの戦いを描いた連続活劇「ジゴマ」以来、ミステリー映画は絶大な人気を誇る一大ジャンルとなっている。
アカデミー脚本賞にノミネートされた本作は、謎解きやトリックを主眼とし名探偵が活躍する「本格モノ」であり、大邸宅の中だけで事件が起こる「密室モノ」でもあり、訳アリの怪しい住人たちの正体を暴いていく「暴露モノ」とも言える、王道の「謎解き探偵もの」だ。
監督のライアン・ジョンソンによるオリジナルシナリオは、「アガサ・クリスティーに捧げる」とだけあって、登場人物たちの性格付けや犯罪に対する動機付けの説得力、さりげない伏線の貼り方、それでいて大胆なトリックなど、巧妙で精緻を極めるプロットとなっている。安っぽくないのは、物語の構成力が大変優れているからだ。
映画のストーリーは、「アクロイド殺し」や「ねじれた家」を換骨奪胎しているかのような筋立てで、途中デジャヴを感じたりしたが、それはありきたりを意味するのではなく、ジョンソン監督のクリスティーに対するリスペクトだ。
さらに、本作の名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が「南部訛りの英語」を喋る設定なのは、名探偵エルキュール・ポワロの会話の設定が「ベルギー人が喋るフランス語訛りの英語」に通じており、ファンには分かる仕掛けだ。
本作もクリスティの著作のように登場人物は多彩だが、一人ひとり見せ場があり混乱するようなことはない。それには芸達者なくせ者俳優たちによる演技力はもちろん、ジョンソン監督の巧みな捌きによる演出の力が大きい。
くせ者出演者の中では、個人的には大富豪を演じたクリストファー・プラマーがいい。トラップ大佐が歳をとった姿を、映画の中で見ることができる。本当にいい歳のとり方をしたもんだ。
ネタばれになるので筋は一切明かせないが、間違いなく面白い本格ミステリーである。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。