岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

残酷な時の経過を振り払う再会の歓び

2020年03月20日

男と女 人生最良の日々

© 2019 Les Films 13 - Davis Films - France 2 Cinéma

【出演】アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、スアド・アミドゥ、アントワーヌ・シレ
【監督】クロード・ルルーシュ

あらためて問いたくなる 何故ふたりは別れたか?

 1966年に公開された『男と女』は、カンヌ映画祭で当時は最高賞であったグランプリに輝き、米アカデミー賞でも外国語映画賞、脚本賞を受賞するなど、クロード・ルルーシュ監督の代表作となった。77年には舞台を19世紀アメリカの西部開拓時代に置き換えた『続・男と女』が製作された。西部男をジェームズ・カーン、フランス女をジュヌビエーブ・ビジョルドが演じている。題名は続となっているが、自作のリメイクに近い。86年に公開(日本では87年)された『男と女Ⅱ』は66年作の続編にあたり、原題にも20年後という表現がある。主役のふたりは、ジャン=ルイ・トランティニャンとアヌーク・エーメがそのまま演じ、映画のスクリプターだったアンヌはプロデューサーとして成功し、ジャン・ルイはレーサーを続けている。

 そして本作『男と女 人生最良の日々』は正統な続編であり、続編からは33年、第1作からは実に53年の歳月が流れたことになる。そして、主役を同じふたりが演じている。

 ジャン・ルイの息子は、今では記憶の前後の区別も怪しくなった父親のことを気にかけ、父を高齢者施設に預けていた。それでも、昔愛した女性アンヌのことだけは特別な存在として、父の心には留まり続けている。そんな父親のため、アンヌを探し出すことを決断する。

 『男と女』を初めて観たのは、70年代も後半になってからのことだった。モノクロからセピア色へと、表情を変える映像、“シャバダバダバ“ と耳に心地良い音楽。自在なカメラワークと編集の切れ味で、映画をスケッチのように表現する新たな可能性を示した傑作であった。

 無表情のまま、いつものお気に入りの庭の椅子に座るジャン・ルイ。その隣にアンヌが座る。ぎこちない会話は平行線のままなのか、と、一瞬にして過去を呼び覚ますふたり。生き生きとした表情は、残酷に見えた老いを振り払う。堪らない瞬間に立ち会えた歓びに誘ってくれる。それにしてもふたりは、何故、別れてしまったのだろう?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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