岐阜新聞 映画部

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2020年03月16日

嘘八百 京町ロワイヤル

© 2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会

【出演】中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子、友近、森川葵、山田裕貴、竜雷太、加藤雅也
【監督】武正晴

目利きの強者も美女には弱い

 骨董の世界を舞台にした騙し合いコメディ『嘘八百』は、日本映画には珍しい”コンゲーム”=信用詐欺の形式を組み込み、それに関西弁を屈指した独特のコテコテ感も兼ね備えた娯楽作として記憶に新しい。その続編が『嘘八百 京町ロワイヤル』である。

 古美術店「獺」を営む小池(中井貴一)は、店先を占い師である娘のテリトリーに占領され些か肩身が狭い。陶芸家の野田(佐々木蔵之介)は、腕前はあるのだが、贋作師の過去を引きずり、強い嫁には頭が上がらない。

 これらの前作に続くキャラクターの説明は簡略化して、続編では薄幸の美女・志野(広末涼子)を登場させ、一気に話に引き込む。志野は家宝であった織部の茶碗を騙し取られたことを涙ながらに告白する。

 痴呆が進んだ志野の母親が丸め込まれて奪われた茶碗は、茶人・千利休の後を受け継いだ古田織部の作、幻の茶碗“はたかけ"というのも、"利休の茶碗”を話の種とした前作の路線を受け継いでいる。そして、この詐欺行為の中心には有名骨董店の嵐山(加藤雅也)がいることを嗅ぎつける。

 主役のふたりの他にも、居酒屋「土竜」に集う贋作者チームは前作のまま、細かいネタで個性を呼び覚ます。前を知らない人には唐突感が先行してしまうが、これも一発ギャグの許容範囲としたい。 今回のクライマックスの仕掛けは、ケーブルTVの生放送中に、嵐山たちの悪徳を暴くというもの。先代の幽霊を登場させるくだりは、まるで吉本新喜劇の設定のようでバタ臭いが、これも確信犯のようなところがあり、役者も嬉々として演じている。綿密に用意周到であった仕掛けにも、随所で破綻しつつ、何とか切り抜けたり、裏をかく展開も予想の範疇と言えなくもないが、そこにリアリティを求めることこそ味気ない。細部に露見するヒビやキズは、骨董茶碗の景色と見なし、気軽なプログラムピクチャーとして楽しみたい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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