岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

歪んでいたり、いびつであっても価値がある

2020年03月16日

嘘八百 京町ロワイヤル

© 2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会

【出演】中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子、友近、森川葵、山田裕貴、竜雷太、加藤雅也
【監督】武正晴

主役の男子が美人には弱いという設定は喜劇映画のお約束

 「開運!なんでも鑑定団」の2020年新春スペシャルで、本人評価額500万円の「織部焼の茶碗」に2500万円の鑑定が出た。「桃山時代に作られた黒織部の茶碗。成形後に両手の平で軽く押しつぶして歪ませている。形を見ると岐阜県土岐市の元屋敷窯で作られたものと断定できる。」と中島誠之助さん。岐阜県発の宝物である。

 前作の堺に続いて今回の舞台は京都。贋物の茶器は、千利休から弟子の古田織部へと代わる。「織部は京都やなくて岐阜県やて!」などというヤボは言わない。堺で大騒動を繰り広げた古物商・則夫(中井貴一)と陶芸家・佐輔(佐々木蔵之介)のコンビが相手にするのは、海千山千のツワモノ・嵐山堂(加藤雅也)。2人が仕掛ける相手としては、表と裏の使い分けが一筋縄ではいかない京都人が最適であるのだ(あくまでも個人的見解です)。

 映画では、織部には端が欠けているという意味で「はたかけ」と呼ばれる幻の器があるという、まことしやかなお話が中心となってくる。歪んでいたり形がいびつであったりするのが織部で、一見信ぴょう性があるように思えてくる。「人魚のミイラ」と同じように、信じる人がいるのだ。

 今回新たに加わるのが、謎の美人・志野(広末涼子)。主役の男子が美人には弱いという設定は喜劇映画のお約束事であり、2人の鼻の下が伸びる様が笑いを誘う。

 この織部の茶碗のように、歪んでいたりいびつであっても価値がある、というのが本作のミソで、映画は威張った者をギャフンと言わせる喜劇の王道をいっていると共に、完璧な人間などいないし、それでいいんだとエールを送ってくれている。居酒屋「土竜」の常連さんたちも、相変わらずクセが強くて役に立つ。

 出演者の中で私の一押しは、陶芸王子役の山田裕貴君。元ドラゴンズの山田和利さん(現広島カープのコーチ)の長男で、彼が売り出し中の頃、ナゴヤドームで始球式を見た。応援ヨロシク!

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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