生命の源、海と調和する瞬間を映画で体感する
2020年02月28日
ドルフィン・マン ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ
©2017 ANEMON PRODUCTIONS/LES FILMS DU BALIBARI/GREEK FILM CENTRE/IMPLEO INC./STORYLINE ENTERTAINMENT/WOWOW
【出演】ジャック・マイヨール、ジャン=マルク・バール、ドッティ・マイヨール、ジャン=ジャック・マイヨール、成田均、高砂淳二、ウィリアム・トゥルブリッジ ほか
【監督】レフトリス・ハリートス
日本との絆と栄光の影にあった孤独
ジャック・マイヨールは1927年、上海に生まれた。10歳の頃までに、何度か日本を訪れている。佐賀県唐津市では、地元の子どもたちと海で戯れ、イルカと一緒に泳ぐ体験をした。そこには、素潜り漁を生活の糧とする海女がいた。その出会いが、その後のマイヨールの人生に大きな影響を与えることとなった。
映画『ドルフィン・マン ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』は、彼の生涯を追ったドキュメンタリーだが、この少年期の逸話の他にも、日本との関係が随所に登場する。
1988年に公開された『グラン・ブルー』(リュック・ベッソン監督)は、フリーダイビングに挑む2人のダイバーの友情を描いた映画だが、フランス人ダイバーのジャックはマイヨールをモデルとしている。演じたのはジャン=マルク・バールで『ドルフィン・マン』にも証言者として登場し、ナレーションを担当している。もうひとりのイタリア人ダイバー、エンゾはジャン・レノが演じた。
蒼く深い海に潜る映像は美しく幻想的で、神秘的な空間へ誘う。観客はダイバーが独特の方法で呼吸を整え、ダイブする瞬間、息を止め同化する体験をする。水中の様子は究極の閉所となり、水圧と共に体に接する海水は、胎児が羊水の中にいた記憶を呼び覚ます。
『グラン・ブルー』はフランスでは若者を中心に熱狂的な支持を得て、劇場は拍手喝采の狂騒に包まれるという社会現象となり、187週連続上映という記録的な大ヒットを打ち立てた。
ジャック・マイヨールは1976年、イタリア・エルバ島で人類初の素潜りによる100メートル超えの記録を達成する。その時、マイヨールは49歳だった。
親日家だったマイヨールは千葉県館山に別荘を持ち、日本の地を海をこよなく愛した。ダイビングに挑む精神的な鍛錬には、禅の修行を取り入れた。無の境地に到達する瞬間、マイヨールは水に包まれていたのだろうか?何も無い世界へ…映画は誘う。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。